学習のすすめ











(六)レーニン、スターリンの偉大な社会主義を止揚≠キべきもう一つの側面たるもの、すなわちレーニン以後の社会主義運動が、歴史上の制約によって未解決となった諸課題、そして歴史がわれわれにそれを解決し、マルクス主義運動をさらに発展、前進させるよう託し、止揚させるよう求めた課題とは何か!

 <学習のすすめ>・第三節・(四)の項・哲学でくわしく論じたとおり、万物の運動法則、その弁証法的発展の法則の中の重要項目には止揚≠ニいう法則が提起されている。具体的にはそれはどういうことかについて<学習のすすめ>第五節・(二)の項でくわしく論じられている。それはつまり、過去(歴史)を引き継ぎつつ、その中の前進的・発展的な核心を擁護すると同時に、歴史的にみてまだ未解決で、まだ達成できなかった諸課題は、後継者たるわれわれの手によって必ず解決し、達成する、ということであった。だから止揚≠ノも二つの側面があるのである。

 そしてその二つの側面の中のレーニン、スターリンの社会主義建設について継承すべき課題については前項第五節・(四)・(五)で明らかにした。

 したがってこの(六)の項では、止揚≠フもう一つの側面たるレーニン以後(スターリン、毛沢東時代)の歴史では未解決となり、未達成となっていたいくつかの課題について明らかにする。もちろん、歴史的には、将来、国際的に、新たなインタナショナルのなかで、大いに議論し、討論されるべき問題であることは明らかである。そのためにこそわれわれはここでわれわれの見解を明らかにしておきたい。その止揚すべき歴史の一ページに付け加えるべき課題はつぎの諸点である。
(1)社会主義建設を最終的に勝利させるカギはプロレタリア独裁である。故にその理論上の原則は忠実に守り、忠実に実行しなければならない。
 社会主義運動、共産主義運動、革命運動の勝敗を決定づけるものはまさにプロレタリア独裁の理論と実践である。

 このことについては<学習のすすめ>第五節・(四)の項でくわしく提起されている。理論的に、実践的に、具体的に提起されている。

 特にブルジョア議会主義の欺瞞性について徹底的に明らかにし、評議会(ソビエト)こそプロレタリア独裁下における直接民主主義、真の民主主義であることをくわしく論じられている。だから投票や選挙というものはブルジョア的愚民主義、衆愚政策である。このことから社会主義政権がこの愚民主義と衆愚政策を実行すれば、そこから、その党がブルジョア政党に堕落するのである。

 だから真の社会主義党はこのプロレタリア独裁の理論と実践を忠実に守りぬかねばならなかった。
(2)プロレタリア国際主義、その具体化であるインタナショナルをあくまで守りぬき、忠実に実践しなければならない。国際主義を忘れると民族主義に堕落することを知らねばならない。
 マルクスとエンゲルスは『共産党宣言』の最後の結びのスローガンに『万国の労働者団結せよ!』と書いた。この一言の中にマルクスとエンゲルスの万感の思いが凝縮されている。

 そしてマルクスとエンゲルスはその具体化、その実践活動としてインタナショナルの結成、組織化、その運動を一貫して指導した。一八六四年九月二十八日に創立された『国際労働者協会』(第一インタナショナル)の創立宣言はマルクスが執筆したが、その中では強くつぎのことが強調されている(大月版「マルクス=エンゲルス全集」第十六巻)。

 「さまざまな国の労働者は兄弟のきずなで結ばれ、このきずなに励まされて、彼らのあらゆる解放闘争でしっかりと支持し合わなければならないのであって、この兄弟のきずなを無視するときには、彼らのばらばらな努力は共通の挫折という懲らしめを受けることは、過去の経験が示しているところである」と。
 レーニンはマルクスの教えを忠実に守り実行した。一九一七年にロシア革命が勝利するや、早くも一九一九年三月に「第三インタナショナル」(コミンテルン)を結成して、全世界の革命運動の連帯と統一を実現した。そしてレーニンはつぎのように主張した。

 「プロレタリア国際主義は第一に、一国のプロレタリア的闘争の利益を世界的な規模のプロレタリア的闘争の利益に従属させることを要求し、第二に、ブルジョアジーに対する勝利を実現しつつある民族に対しては、国際資本を打倒するために最大の民族的犠牲をも甘受する能力と覚悟を持つことを要求する」(一九二〇年『民族植民地問題に関するテーゼ原案』)と。
(3)農業(農村)の社会主義化(中小ブルジョアジーの社会主義化)については、マルクス主義の理論上の原則を守り、レーニンの実践から学ぶ。そして「内容の独裁・方法の民主主義」という政治手法(作風)をしっかりと実行しなければならない。
 まず最初に、社会主義とは何か、その原理から出発しなければならない。このことについてエンゲルスは、一八四七年に書いた『共産主義の原理』のなかでつぎのように言っている。人間社会における真の自由と民主主義、真の平等と公平と人間性の豊かさは、国家と社会そのものが協力と共同のコミュニティーでなければならず、生産活動もまた個人主義ではなく、社会的欲望(社会の需要)に答えられる目的・意識的、計画的生産、計画経済でなければならない、と。

 エンゲルスはまた、一八八〇―八二年に書いた『空想から科学への社会主義の発展』の中でつぎのように言っている。社会主義的計画経済を通じて、工業化、機械化、科学技術が発展し、生産力が高度に発達したとき、工業と農業、都市と農村、知的労働と肉体労働の差がなくなったとき、そのとき高度なコミュニティーとしての共産主義に到達する。そのとき国家は「廃止」されるのではなく「死滅する」のである、と。このエンゲルスが言っていることの本質はつぎの点である。つまり、人類社会の最終的到達点はコミュニティーであり、共同化であり、協同化である。そのための土台としての経済建設においては、すべての生産活動(特に農村において)の機械化、近代化である。機械化、近代化こそが、都市と農村、肉体労働と知的労働、工業と農業の差を解消していく。
 ところで、都市と鉱工業における社会主義化は農業と農村にくらべると相対的に容易である。それは都市と鉱工業部門はその必然性から機械化と近代化が大いに進むものであり、客観的には社会化、社会主義化されている。それに対して農業と農村においてはその歴史性と社会性から、機械化と近代化は非常に遅れており、極めて個人主義的で孤立的で、農民や中小ブルジョアジーは社会的に大きく立ち遅れている。したがって労働者階級の政府と権力は、この中小ブルジョアジーに対する政策と指導方法には十分な注意が必要なのである。

 この問題についてエンゲルスは、一八九四―九五年に『ノイエ・ツアイト』に発表した論文『フランスとドイツの農民問題』の中でくわしく論じている。ここで注意しなければならないのは、エンゲルスの論文は農民問題を論じながら、基本的には中小ブルジョアジーの社会主義化について論じているのである。エンゲルスはこの中でつぎの基本点を強く主張している。

 第一に、ブルジョア大地主(不在地主)の土地はこれを没収して国有農場とする(レーニンはソビエト時代、これをソフホーズとして、小農、農村プロレタリアを結集し、機械化された大規模国営農場とした)。

 第二に、中小地主の土地は没収せず、説得と教育と国営農場の実地見聞にもとづいて、自らの自覚にもとづく共同化、協同組合をめざす(レーニンのソビエトでは、コルホーズ、協同組合的集団農場として社会主義化を進めた)。

 第三に、小農や農村プロレタリアは共同化農場に結集する以外に生きる道はないのだということを認識させ、自覚させ、国営農場か、協同組合農場かを自らの意志として決定させていく(レーニンのソビエトでは、コルホーズか、ソフホーズか、いずれかに組織されていった)。

 これがマルクスとエンゲルスが理論化し、レーニンが実践した農業と農民(中小ブルジョアジー)に対する社会主義政策なのである。

 ソビエト社会主義における農業・農民問題についてレーニンは多くの指針を発表しているが、それはすべてさきに明らかにしたエンゲルスの三項目にわたる基本方向を堅持し、その具体化へ向けたものであった。つまりは、農民への社会主義思想の宣伝教育を十分に行うこと(言って聞かせる)。そして小規模経営ではなく、共同化された、大規模農場こそが農民の生きる道なのだということを、ソフホーズを通じて実際に見聞させ、体験させた(ソフホーズという国営農場を作って見せた。つまりはやってみせた)。そうして一歩一歩、自らの力で共同、協力を推し進めた。レーニンの実行した作風は、言って聞かせ、やってみせ、そのうえでやらせる、という、徹底した民主主義の実践であった。つまりは「内容の独裁(社会主義は実行する)、方法の民主主義(そのための手段と方法は民主主義を徹底的に運用する)」というマルクス主義党の作風であった。

 一九一七年五月十二日に開かれた、農民代表第一回全ロシア大会における演説でレーニンはつぎのように言った。「共同化、協同組合化は非常に困難な仕事である。このような協同組合化を上からの決定として押し付けることができると考えるとしたら、それは気狂い沙汰というものである。なぜなら、幾百年にわたる個別経営の習慣は、いっぺんに消えてなくなるものではない。多くの時間が必要なのである」と。

 またレーニンは一九一九年三月に開かれた、ロシア共産党(ボリシェビキ)第八回大会での、農業・農民問題に関する演説のなかでつぎのように語っている。「農業のすべての基礎を改造する仕事は長くかかる仕事である。農業における変革を上からおこなってはならない。農村の社会主義化を、力ずくでやることほどばかげたものはない」と。

 そしてレーニンは一九二〇年十二月に開かれた第八回全ロシアソビエト大会の席上「社会主義とはソビエト権力プラス全国の電化である」と演説したが、これはすべての産業、農業と農村における社会主義の勝利の土台は、電化、機械化であることを訴えたのである。農業における機械化、近代化によって、都市と農村の格差をなくすることによって、社会主義的生産活動、生産力は発展し、前進するのである。農業と農村における社会主義の勝利に関するエンゲルスとレーニンの教えをわれわれは絶対に忘れてはならない。