〈最近の人民戦線の
重要基本文献集










 

 

日本人民戦線・議長 平岡恵子


新しい年、二〇一七年を迎えて、まずは共に闘う同志の皆さん、そして多くの活動家と幹部の皆さんに新年のあいさつを申し上げます。
 さて、私は新年のあいさつ、二〇一七年アピールでは、宇宙と万物を支配しているエネルギーの運動法則について、その根本原理と理念について、しっかりと認識するよう訴えるしだいであります。
 なぜか。昨年一年間を振り返ってみますと、あまりにも世界情勢は激しく動きまわり、混乱と動揺、テロと内戦、難民と民族の崩壊、格差拡大はあらゆる分野に発生、こうしてすべての国家と社会に「古い統治システムとの決別」そのための大衆の反乱がまき起こっています。その典型が英国のEU脱退、アメリカ大統領選挙のトランプ旋風でした。
 しかしここで大切なことは、こういうことを、ニュース解説的に説くのではなく、根本的な理念、つまり哲学・科学的な世界観で見つめ、判断し、行動する、ということであります。
 その根本原理として、万物を支配するエネルギーの運動法則について訴えたいのです。
 現代世界は誠に騒々しい時代に突入している。昨年末の世界情勢に関する新聞報道を見ても、十二月六日付日本の各紙は「既成政治ノー、欧州全体、EU各国に新興政党相次ぎ台頭、低成長、高失業率、EU結束を揺さぶる」(東京)「分断、不満、渦巻く欧州、格差に失望、新興政党へ支持、オーストリア二大政党の退潮鮮明」(朝日)「既存政治に不満強く、ポピュリズム政権現実味」(読売)など、二〇一六年六月の英国、EUからの脱退。二〇一六年十一月八日のアメリカ大統領選挙における番狂わせのトランプ当選などについて、すべては大衆の反乱だと各紙がみな書き立てている。
 しかし私たちはこういう大きな歴史的事件については決して表面的に騒ぎ立てるのではなく、哲学・科学的にしっかりと見つめなくてはならないのである。
 つまり、哲学・科学的世界観に立って見つめる、ということである。その根本は万物を支配しているこの大宇宙はエネルギーの運動法則によって動いており、この運動がさまざまな現象を引き起こしている、という歴史の法則から見つめる、ということであり、万物は法則によって動いている、ということである。
 現代宇宙物理学の統一見解によれば、私たちの住むこの宇宙は、ダークエネルギー(確認できない暗黒エネルギー)が68・3%を占めており、このエネルギーによって宇宙は動いており、このエネルギーによってあらゆる現象が生み出されている、という認識で一致している。宇宙の7割を占めるエネルギーが動かす。エネルギーとは熱であり、力であり、意識である。そしてこのエネルギーが万物の母であり、動いており、運動しており、その運動は前へ、前へと進むものであり、決して後へは戻らない。この運動は、古いものを破壊し、新しいものを生み出しつつ前へと進む。この必然的法則はエネルギーの運動法則として不変であり、必然性である。
 好きか嫌いかではなく、わかるかわからないかではなく、エネルギーの運動の客観性なのである。だから福岡伸一氏はつぎのようにはっきりと言明する。

『変わらないために変わり続ける』(自然科学者・福岡伸一著、文藝春秋社刊)という自然科学の運動法則は人類世界にも貫徹されていることを知らねばならない。万物は一貫して変わり続けつつ、永遠なのである。

 福岡伸一氏(青山学院大学教授・生物学者)は右の著作とあわせて『生命はいつ、どこで、どのように生まれたのか』(集英社インターナショナル刊)や、2014年8月17日付日本経済新聞「芸術と科学のあいだ」という一文などで人類世界の運動について、自然科学の法則を説き続けている。それはビッグバンによって生まれたこの大宇宙は内在するエネルギーの運動によって永遠に動き続く。この運動こそが万物の母であり、あらゆる存在は運動の産物である。運動なくして存在はなく、存在とは運動である、と説く。
 その運動するあらゆるものは、互いに関連しつつ、結びつき対立し、一つになり、そして遠心力と求心力が働き、互いに連続し、絡み合いながら、すべて継続されていく。運動と連続、らせん的な継続、そして成長と交代、死滅と生成、すべては変わらないために変わり続ける、という。
 この宇宙は永遠に運動するため古い宇宙は死滅し、新しい宇宙が生まれる。すべての星は古いものは死滅し、新しい星が生まれる。植物も、動物も、人間も、古く老いたるものは死滅し、新しいものに変わる。永遠であるために変わらねばならない。福岡伸一教授はこの運動を「リスペクト」と呼ぶ。まさにリスペクト、何という気高くも尊厳的であることか。この大自然の法則がわかるか、わからないか、ここに、知性主義か、反知性主義かの分かれ道がある。

またエンゲルスは名著『自然弁証法』(1875―1876)の中で次のように説いている。

 「(ダーウインの進化論によって)無機的自然と有機的自然とをわかつ溝は最小限にまで縮小され、生物の進化論にそれまで対立していたもっとも本質的な難点の一つが取り除かれた。新しい自然観はその根本的な点において完成した。いっさいの硬化したものは解消され、いっさいの固定したものは消滅し、永久的なものとされていたいっさいの特殊なものは一時的なものとなり、全自然は永遠の流転と循環とのなかで運動することが証明されたからである。
 こうしてわれわれは再び、全自然は、最小のものから最大のものに至るまで、砂粒から太陽に至るまで、原生生物から人類に至るまで、すべて永遠の生成と消滅、たえまない流転、やすみなき運動と変化の中に存在するという、かのギリシャ哲学の偉大な創始者たちの見方に立ち戻ったわけである」と。

万物を支配するエネルギーの運動法則がわが宇宙を生み出した。ビッグバン宇宙とは何か!

 イギリスの科学ジャーナリスト・クリストファー・ロイド氏が『一三七億年の物語―宇宙がはじまってから今日までの全歴史―』という大著を発表(日本では二〇一二年九月、文藝春秋社から刊行)。世界的なベストセラーになった。この著作は氏の見解を述べたものではなく、宇宙科学に関する世界的科学者たちが現段階に到達した統一見解を整理し、まとめたものである。だからここに現代の宇宙論の到達点がある。
 その内容を全部紹介するのは不可能なので、ここでは新しい世界としての宇宙を生み出した決定的瞬間たるビックバンはどのようにして実現されたのかを、原文にもとづいて紹介する。現代物理学が到達した結論は次の通りである。
 「太陽は、太陽系の惑星をすべてあわせたより一〇〇〇倍も大きい。…銀河系には、太陽と同じような恒星が二〇〇〇億個もある。…この宇宙に銀河はおよそ一二五〇億個もある。…それらをすべてひとまとめにして、ぐいぐい圧縮していく。…最期はアルファベットのiの上の点より小さくなる。…宇宙の原初の姿、科学者たちが特異点と呼ぶものである。この非常に小さく、とてつもなく重く、とてつもなく密度の高い点は、内側に閉じ込めたエネルギーの圧力に耐えきれず、一三七億年前に途方もないことをしでかした。爆発したのである。並の爆発ではない。壮大な爆発、空前絶後の大爆発。すなわちビッグバンだ。…宇宙は目に見えないほど小さな点から、この地球はもとより、今私たちが見ているすべての星を作るもとに必要なものが存在する空間へと拡がったのである。…ではなぜ科学者たちは、そのようなとてつもないできごとが起きたと信じているのだろう。だれが目撃するはずない、遠い過去のことなのだ。当然ながら今でも少なからぬ人たちがビッグバンという考え方事態を疑っている。しかし大方の科学者はそれが起きたことを認めている。彼らに言わせれば、証拠はそこかしこにいくらでもあるからだ」と。

歴史を転換させた哲学・科学的法則のモデルたるビッグバンから学ぶべきその原理。

(一)エネルギーの運動法則が生み出す遠心力と求心力(対立物の統一)の相互作用がビッグバンを引き起こした。その起爆剤が運動の核に集中した求心力である。
(二)求心力は運動の目的である必然性(古いものを破壊して新しいものを作る)をめざす核心への強化に作用する。
(三)法則として遠心力は最後に消滅する。反対に求心力は必然性をめざす核に向かって強力に作用する。
(四)遠心力の消滅、求心力の拡大、という相互作用が深まる特異点が爆発を引き起こし、相転移を実現させる。
(五)結局、すべては核であり、核なしの運動はあり得ない。そして核もまたエネルギーの運動法則の産物である。

ビッグバン宇宙が物質世界を作り出した。

ビッグバン(大爆発)の当初は高度な熱世界であり、多数の粒子が飛び交う世界であった。そのうちに陽子と中性子というまったく異質の二つの粒子が結合したまま離れなくなり、こうして原子核が形成。そのまわりに電子(粒子)が結合、こうして物質としての原子が形成。原子が色々な粒子と結びついて元素となり、現代世界(物質世界)が形成された。太陽は中心に水素核があり、地球には核としてのコア(鉄とニッケル)があり、六〇兆個の人間細胞にもみな細胞核があり、核なしの物質はあり得ない。
 天体活動にもすべて核が存在し、社会科学では中心部(核)が生まれ、その核が運動を支配していく。核抜きの運動はあり得ない。

横山順一著、『輪廻(りんね)する宇宙』(講談社刊)

東大、ビッグバン宇宙国際研究センター教授・横山順一氏は右著作の中で次のように言う。
 宇宙はエネルギーに満ちている。エネルギーが宇宙を揺り動かしている。
 宇宙は一つではない。たくさんの宇宙が互いに結びついて運動している。
 一つ一つの宇宙には始まりと終わりがあっても全体としての宇宙には始まりも終わりもない。
 こうして宇宙は生き変わり、死に変わり、車輪が果てしなく回るように永遠である、と。
 ここにもエンゲルスの『自然弁証法』の原理をみることができる。すべてはエネルギーの運動の中で存在しつづけるのである。

結  語

われわれの未来展望とそのスローガン

われわれはすべてを哲学・歴史科学的世界観に徹するよう呼びかける。われわれは一貫して次のような哲学・科学的世界観、歴史科学観を提起する。
 @、人類とその社会は永遠の過去から永遠の未来に向かって運動し、発展し、爆発し、収れんされつつ前進していく。そのエネルギーは人間の生きる力であり、その物質的表現としての生産力である。
 A、生産力の発展がその度合いに応じて生産関係としての人類社会(国家)を作り出していった。それは最初の原始共同体、次の奴隷制、封建制、資本主義制、そして社会主義へと一貫して生産力の発展が生産関係(国家)を変化させていった。これからもそうなる。
 B、物理学が証明しているとおり、すべての生物は環境が作り出していく。人類もまた環境の産物であり、進化していった。環境が人間を変えていく。新しい環境と新しい社会は新しい型の人間を作り出していく。
 C、人類の歴史を見ればわかるとおり、一つの支配権力、一つの国家形態が永遠であったことは一度もない。歴史は常に運動し、変化し、発展し、転換して次々と新しい時代を作り出していった。そして歴史を見ればわかるとおり、変化は静かで一直線ではない。爆発と収れんは歴史法則である。歴史は必然を持って前を目指すが、その過程では常に偶然が伴う。偶然は必然のための産物であり、偶然は必然のための糧である。そして必然の世界とは人民の人民による人民のための世界であり、より高度に発展したコミュニティー社会である。歴史は到達すべきところに必ず到達する。
 D、コミュニティーとは何か。人民による人民のための人民の世界とは何か。それは国家、社会、生産活動の運営目的を、最大限の利益と利潤追求のみに注ぐのではなく、すべてを人民の生活と文化水準と社会環境の安心・安全・安定のために注ぐ。
 E、生産第一主義、物質万能主義、拝金主義、弱肉強食の国家と社会ではなく、人間性の豊かさと人間の尊厳と人間としての連帯と共生の国家と社会にする。
 F、金と物がすべてではなく、人間の心と自然の豊かさが第一であり、姿や形だけの美しさではなく、働く人びとの生きる姿と心の美しさが第一であり、一人だけで急いで先に進むのではなく、遅くてもみなが一緒に進む。
 G、人類とその社会は生まれたときから環境の産物であり、歴史的なものであった。環境が変われば人類とその社会も変わる。国家と権力が変われば人類社会は変わる。
 H、そのための力こそ、すべてを人民のための・人民による・人民の政治と権力であり、その具体的表現たる人民評議会である。ここに本当の民主主義がある。
 I、人類が最初にはじめてつくった社会は、原始的ではあったが、そこにはまさに共同と共生と連帯の人間的社会があった。そしていくたの回り道をしたが、その間により大きくなってもとに帰る。つまりより高度に発達した近代的コミュニティー国家と社会へ。ここから本当の人間社会、人民の社会が生まれる。こうして人類は総力をあげて大宇宙との闘い、新しい闘い、宇宙の開発と開拓の闘いに進軍するであろう。
                              (以上)