〈最近の人民戦線の
重要基本文献集










 

 

日本人民戦線・議長 平岡恵子


結局、当面は関係国の内因(国内情勢)による小手先・手段が作用し、
歴史は根本的解決を求めて戦いはつづく!


 新しい年、二〇一八年を迎えて、まずは共に闘う同志の皆さん、そして多くの幹部と活動家の皆さんに新年のあいさつを申し上げます。
 アメリカと北朝鮮の対立と抗争は決着しないまま膠着状態がつづき、いつかはどこかで、ついに戦争にならざるを得ない。そこでついに国連が乗り出しました。フェルトマン事務次長(政治担当)が十二月五日から八日まで北朝鮮を訪問、双方の仲介を開始しました。
 結果はどうだったのか。これからは国連が仲に立ってすべては話し合いで解決する、ということになりましたが、その意味はどこにあるのか。つまり、現代資本主義世界の最高峰たるアメリカでも解決できない、ということ。それは現代資本主義の力では何もできないということであり、現代の世界、現代の歴史時代はすべてが無力であり、無政府状態であり、漂流する歴史時代だということであります。
 現代の歴史時代とは、それは世界は無重力の時代であり、漂流する時代であり、大衆の怒りがいたるところに爆発している時代であります。その根底にあるのは資本主義というこの政治・経済・社会制度が生み出す必然の産物としての抑圧と生活苦、失業と貧困、格差社会の拡大と前途への不安、であります。この現象と原因については水野和夫氏の著作『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)が正しく解明しているとおりであります。つまり歴史は人類社会の根本的転換期に到達しているのであり、人類社会は永遠に存在し続けるために、原始社会から奴隷制へ、そして封建制から資本主義へ、こうして次の時代たるコミュニティー共同体へと変わらなければならない時代に到達しているのであります。歴史は変化を求めて爆発しています。
 これは哲学・歴史科学の必然の法則であります。この必然性が、人類社会最後の帝国主義国家たるアメリカ帝国主義の一極支配を終わらせました。その結果ついに世界は重力を失い、無政府状態となり、バラバラになり、必然的に、人間欲望の自由主義の国家形態たる民族主義が一斉に爆発したのであります。
 今日、全世界に吹き上がる対立と抗争、内乱と暴動、国家間の紛争と非難合戦などはみな、すべては歴史と民族主義の爆発であります。民族主義が形や姿を変えて、宗教対立となり、経済紛争となり、国境紛争となる。しかし歴史が証明しているとおり、民族主義に未来はありません。歴史が封建制の遺物としての民族主義を拒否するのです。それは、民族主義の典型であったヒトラーと日本軍国主義の歴史が明確に証明しているとおりです。民族主義は戦争の源泉でもあるのです。
 そして特筆しておかねばならないのは、現代ヨーロッパを大混乱と動揺に落し入れている難民問題であります。内戦が続く中東、シリアなどからヨーロッパに殺到する難民・移民はすでに六五〇〇万人となり、第二次世界大戦以来の最大の危機と呼ばれる事態となっています。それが欧州連合(EU)内の各種の矛盾と結びついてヨーロッパの危機を生み出しています。
 平和と生活と身の安全を求め、祖国と故郷を捨て、流浪の民となって、当てもなく、これだけの多くの民がさ迷うような時代は今までなかったのであります。ここに現代資本主義の政治的危機があります。もはや現代資本主義に人類を豊かにする能力はなくなったのです。ここにも歴史の転換期を見ることができます。すべては「資本主義の終焉と歴史の危機」という経済上の土台が、このような政治的・社会的危機を生み出しています。
 ではアメリカと北朝鮮問題はどうなるのか。その当面の決着は、法則どおり、双方の内因(国内情勢、つまりその民族主義)によって運命が決します。  
 その実例は第一次、第二次世界大戦が示しています。それは戦争を通じて民族主義は破滅していく。すべては歴史の法則であります。
 昨年、世界的なジャーナリスト、ポール・メイソン氏は『ポストキャピタリズム』(資本主義以後の世界)と題する注目される著作を発表しています。ポール・メイソン氏は英国のジャーナリスト兼ブロードキャスターであり、優れたジャーナリストに贈られる「ウィンコット賞」など数々の賞を受賞しています。英TV局チャンネル4の経済担当編集者を経てフリーランスに転身しました。著書多数。ガーディアン紙やニュー・ステーツマン誌などにも執筆しています。
 ポール・メイソン氏は、その著作のなかで『資本主義以後の世界』について、次のように提起しています。「結局のところ、資本主義は強硬な手段によって終わりを迎えることはないだろう。それが終わるのは、旧システムにも存在するが目には見えない、よりダイナミックな何かが構築されたときです。そして、それが現れると、新しい価値や行動、規範を中心とした経済に作り直されます。五〇〇年前の封建制度と同様に、資本主義の崩壊は、外的ショックによって加速され、新しいタイプの人間の登場によって具体化されるでしょう。しかも、それはすでに始まっているのだ」と。

最後は内因(国内情勢)が決する。各国の内情をみつめよ

 アメリカの内因。
 アメリカのトランプ政権は非常に不安定です。つぎつぎに問題が発生しています。まず十一月五日から十四日にかけてトランプのアジア歴訪は完全に失敗しました。目的は北朝鮮のまわりの国々を説得して、北朝鮮包囲網を形成することでした。そのなかでも中国とロシアを工作して、この二つの国が北との経済的結びつきを断ち切れば北は落ちるとみたことです。これは失敗しました。みなアメリカの説得を拒否したのです。アメリカは世界中から孤立してしまったのであります。
 そしてトランプ大統領は十二月六日、エルサレムをイスラエルの首都と認め、アメリカ大使館もテルアビブから早急にエルサレムに移動するよう指示しました。これは全世界、国連までもこれに反対し、英、仏、中、ロなど主な国はみなこれに反対しました。ここでもトランプは完全に孤立したのであります。
 それにともなってトランプ政権内部も対立と分裂が拡大し、主要な閣僚間に対立が深まり、人事交代がはじまっています。トランプ政権の不安定は世界に不安を広げ、新聞などは「米国務省はメルトダウン」と書き立てています。

 ロシアの政治不安定はいよいよ急拡大しています。
 すべては来年三月に行われる大統領選挙をめぐる政治騒動です。つまり、つぎの大統領選挙は実質的にはプーチン大統領の信任投票なのであります。プーチン大統領は自分の求心力をいっそう高めるためにあらゆる手段を使って高い投票率、高い得票率をめざしていますが、実態は苦しいのが現実です。プーチンに対する批判は、非民主主義的方法、不正と腐敗、そして経済の不況であります。

 中国の内因とは何か。
 十月十九日付『日本経済新聞』は三ページの大きなスペースで「中国経済、課題山積」「不動産バブル、過剰設備…」という見出しを通じて、中国の実態を報じていますが、いつどこでバブルが崩壊してもおかしくない、と論じています。そして中国共産党の最大の課題は内部対立(派内対立)の解消であります。毛沢東が死去して以来、党内は、太子党(毛沢東と共に闘った高級幹部の子弟)、共青団系(共産主義青年団出身系列)、上海閥(江沢民、元主席の系統)の三派が、何かにつけて対立と抗争をくりかえしています。これをどう解決するかは、長年の課題であります。
 以上、これが内因であり、この内因が、外因(外交上の問題、対外対策)を左右するのであります。これは法則であり、このことがその国の運命を決定していることは歴史が証明しています。
 第一次世界大戦では当時の有力な民族主義国家であったロシア・ロマノフ王朝、ドイツ王制、オーストリア・ハンガリー王制、オスマン・トルコ王制などが死滅し、イギリス、フランスの立憲君主制がヨーロッパを支配しました。第二次世界大戦では当時の民族主義政権の雄であった、ヒトラーと日本軍国主義が崩壊しました。民族主義は法則として歴史によって否定されているのであります。独断、専横、排他、非民主は歴史時代が拒否するのであります。

われわれの未来展望とそのスローガン!

 われわれはすべてを哲学・歴史科学的世界観に徹するよう呼びかける。われわれは一貫して次のような科学的世界観、歴史科学観を提起する。
 @ 人類とその社会は永遠の過去から永遠の未来に向かって運動し、発展し、爆発し、収れんされつつ前進していく。そのエネルギーは人間の生きる力であり、その物質的表現としての生産力である。
 A 生産力の発展がその度合いに応じて生産関係としての人類社会(国家)を作り出していった。それは最初の原始共同体、次の奴隷制、封建制、資本主義制、そして社会主義へと一貫して生産力の発展が生産関係(国家)を変化させていった。これからもそうなる。
 B 物理学が証明しているとおり、すべての生物は環境が作り出していく。人類もまた環境の産物であり、進化していった。環境が人間を変えていく。新しい環境と新しい社会は新しい型の人間を作り出していく。
 C 人類の歴史を見ればわかるとおり、一つの支配権力、一つの国家形態が永遠であったことは一度もない。歴史は常に運動し、変化し、発展し、転換して次々と新しい時代を作り出していった。そして歴史を見ればわかるとおり、変化は静かで一直線ではない。爆発と収れんは歴史法則である。歴史は必然を持って前を目指すが、その過程では常に偶然が伴う。偶然は必然のための産物であり、偶然は必然のための糧である。そして必然の世界とは人民の人民による人民のための世界であり、より高度に発展したコミュニティー社会である。歴史は到達すべきところに必ず到達する。
 D コミュニティーとは何か。人民による人民のための人民の世界とは何か。それは国家、社会、生産活動の運営目的を、最大限の利益と利潤追求のみに注ぐのではなく、すべてを人民の生活と文化水準と社会環境の安心・安全・安定のために注ぐ。
 E 生産第一主義、物質万能主義、拝金主義、弱肉強食の国家と社会ではなく、人間性の豊かさと人間の尊厳と人間としての連帯と共生の国家と社会にする。
 F 金と物がすべてではなく、人間の心と自然の豊かさが第一であり、姿や形だけの美しさではなく、働く人びとの生きる姿と心の美しさが第一であり、一人だけで急いで先に進むのではなく、遅くてもみんなが一緒に進む。
 G 人類とその社会は生まれたときから環境の産物であり、歴史的なものであった。環境が変われば人類とその社会も変わる。国家と権力が変われば人類社会は変わる。
 H そのための力こそ、すべてを人民のための・人民による・人民権力であり、その具体的表現たる人民評議会である。運動と闘いの中でいたるところに評議会を組織せよ。人民の要求、人民の意志としてここで主張する。そして権力として、歴史時代が求める自らの責任と任務を執行させる。
 I 人類が最初にはじめてつくった社会は、原始的ではあったが、そこにはまさに共同と共生と連帯の人間的社会があった。そしていくたの回り道をしたが、その間により大きくなってもとに帰る。つまりより高度に発達した近代的コミュニティー国家と社会へ。ここから本当の民主主義にもとづく人間社会、人民の社会が生まれる。こうして人類は総力をあげて大宇宙との闘い、新しい闘い、宇宙の開発と開拓の闘いに進軍するであろう。