2017年(平成29年) 9月25日付 457号


民族主義は当事国の内因によって運命は決定する。米・朝の内因をよく見よ!

北朝鮮は8月10日、朝鮮人民軍戦略軍司令官の名で「米国に厳重な警告を送るため、中長距離弾道ミサイル『火星12』を4発、米グアム島周辺に同時発射することを検討している」と発表した。これは、グアム島には米国の空海軍の基地があり、そして在韓米軍にも配備される高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)もある。北の計画は毎年この時期に実行される米・韓合同軍事演習に対抗するものであった。
 これはまさに、米・北朝鮮双方による民族主義の激突であり、全世界に広がる民族主義の激突の中の一つである。そして民族主義というその性質から結果は明らかである。つまり、現代の歴史時代、グローバル世界という時代が、民族主義を否定し、民族主義的要素が適用しないのである。
 北朝鮮はアメリカの韓国支配が朝鮮の民族統一を阻害する最大の敵だと叫ぶ。
 一方のアメリカは「グアム島に何かを行えば北朝鮮の体制崩壊や自国民の破滅につながるような炎と怒りに直面するだろう」と警告する。まさに双方の威嚇合戦である。 
 全ては歴史が生み出し、歴史が解決していく。現代の歴史時代とは何か。それは世界は無重力の時代であり、漂流する時代であり、大衆の怒りがいたるところに爆発している時代である。その根底にあるのは資本主義というこの政治・経済・社会制度が生み出す必然の産物としての抑圧と生活苦、失業と貧困、格差社会の拡大と前途への不安、である。この現象と原因については水野和夫氏の著作『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)が解明しているとおりである。つまり歴史は人類社会の根本的転換期に到達しているのであり、著名な自然科学者・福岡伸一氏がその著書『変わらないために変わり続ける』(文藝春秋社刊)で説くように、人類社会は永遠に存在し続けるために、原始社会から奴隷制へ、そして封建制から資本主義へ、こうして次の時代たるコミュニティー共同体へと変わらなければならない時代に到達しているのである。歴史は変化を求めて爆発する。
 これは哲学歴史科学の必然の法則である。この必然性が、人類社会最後の帝国主義国家たるアメリカ帝国主義の一極支配を終わらせた。その結果ついに世界は重力を失い、無政府状態となり、バラバラになり、必然的に、人間欲望の自由主義の国家形態たる民族主義が一斉に爆発しているのである。
 今日、全世界に吹き上がる対立と抗争、内乱と暴動、国家間の紛争と非難合戦などはみな、すべては歴史と民族主義の爆発である。民族主義が形や姿を変えて、宗教対立となり、経済紛争となり、国境紛争となる。しかし歴史が証明しているとおり、民族主義に未来はない。歴史が封建制の遺物としての民族主義を拒否するのである。それは、民族主義の典型であったヒトラーと日本軍国主義の歴史が明確に証明している。民族主義は戦争の源泉でもある。そして民族主義は戦争を通じて消滅していく。歴史を見よ!


民族主義の対立と抗争はすべて内因論が決する。これは歴史の法則である!

民族主義が歴史上に出現したのは、古代ローマ帝国が消滅した後に成立した封建的王制国家(中世)の時代であった。つまり、古代、奴隷制が終わり、中世という、絶対王制としての封建時代に高まってきた農耕経済に伴う土地所有と生産物(備蓄)の所有問題から民族が形成され、こうして民族の首領を王にした封建制国家(民族国家)が出現、ここから民族主義が生まれたのである。
 そしてその民族国家の性質としてそれは他民族との土地をめぐる対立と抗争(戦争)、独占的排他主義、非民主主義的専制政治となった。
 そして歴史科学の法則による民族主義の運命を見ればわかるとおり、それは一時的な爆発であり、民族の本能的暴露であり、自然発生的暴走である。だから必ず破たんする。


北朝鮮の民族主義!

それはあの朝鮮戦争(1950―1953年)に具現されている。当時朝鮮民族は南北に分断されていた。南は「大韓民国」(1948年7月17日。李承晩大統領)。北は「朝鮮民主主義人民共和国」(1948年9月9日。金日成首相)。そして民族の悲願こそ、南北の民族統一であった。そして北朝鮮側は南を支配しているアメリカ帝国主義こそ統一を妨げている元凶だとみていた。こうして朝鮮戦争が始まった。最後は、南はアメリカ軍が、北は中国とソビエトが(空軍はソビエト、地上軍は中国が支援)1953年7月27日に休戦協定が成立、今日に至る。
 民族の統一は、戦争がすべてではなく、思想的、政治的統一を軸にしたものでなければならず、こうして、人民を中心にした強固な統一が実現され、そして歴史が戦争を必要としたとき、人民戦争となって本当の民族統一が成立する。その歴史上の実例こそ、ソビエト政権による「外国干渉軍と国内反乱軍との戦い」(1918―1920年)、そしてベトナム戦争(1961―1975年)が教えているとおり、人民戦争こそ、人民にとっては本当の勝利を手にする戦争である。民族戦争ではなく、人民戦争こそが正義の戦争であることを知らねばならない。これが本当の内因論である。
 だから、現代のアメリカ、北朝鮮の対立は民族主義の激突であるがゆえに、人民戦争に転化できない。だから現代のような結果になるのであり、これからもそうなる。


アメリカの民族主義!

それはトランプ大統領による「アメリカ第一」というスローガンに代表されている。それは結局「アメリカの孤立主義」「保護貿易主義」「世界の問題への無関心」である。だから世界中から批判と非難にさらされる。現代の北朝鮮との摩擦に関しても、アメリカの同盟国、そしてEU各国までも、アメリカに自重を促す。中国とロシアも今では北に自重を促す。
 そしてまた最近の動向で注目したいのは、アメリカの政情は非常に不安定となり、国内の分裂は拡大し、最近の白人至上主義と人種差別主義に反対する人々の間の対立と抗争も拡大している。大統領側と議会側の対立も激しく、政界も不安定となる。こうした内政、内情、内因が外交上にも反映し、トランプ大統領自身の行動も不安定になる。
 こうした内因がトランプ大統領の手足を縛る。こうして内因が外交にも反映していく。外交は内政の反映であり、そして世界的にも、国際的にも、すべての世界が、民族主義の爆発で大混乱になっているとき、どうにもならない時代に、孤立したままでは何も解決しないという現代の時代認識を弁(わきま)えないと後悔する。

 北朝鮮の核実験について!

 北朝鮮は9月3日、核実験を強行した。4日付の新聞は、国際包囲網で解決せよとか、国際社会は覚悟が問われている旨の論調を発表した。まったく非科学的である。
 第一に、北朝鮮の核実験は民族主義の爆発である。そして北朝鮮民族主義とアメリカ民族主義の激突である。
 第二に、北朝鮮とアメリカの「牽制合戦」は結局、アメリカ次第である。
 第三に、北朝鮮の核実験や、民族主義の爆発は、現代の歴史時代が生み出したものである。すべては歴史が決定する。現代の歴史時代が、北朝鮮とアメリカに如何なる行動を求めるかである。歴史が判断し、歴史は転換していく。
 歴史は前に、前に進んでおり、民族主義に未来はない。歴史は偉大である。


民族主義は必ず破たんする。その運命は日本軍国主義の敗北、民族主義の経典たるナチス・ドイツの運命を見ればわかるとおりである!

ドイツ民族主義の爆発として発生した第二次世界大戦は世界的規模にわたる反ファシズム民族解放戦争となり、歴史がドイツの敗北を規定した。ドイツ民族主義の運命はヒトラーの運命となって実現された。1945年4月30日、ベルリンはソビエト軍の砲火に包まれ、その中で官邸地下壕でヒトラーは夫人と共に、ドイツ国民と部下の将軍たちを呪いながら服毒自殺して果てた。5月7日、ドイツ軍は全戦線で無条件降伏した。
 ドイツにおけるヒトラーの出現と第二次世界大戦の勃発は、ドイツ民族主義の爆発であり、そしてドイツの敗北とヒトラーの運命はドイツ民族主義の敗北であった。そしてこの歴史は、人類史における民族主義の運命を決定する教典なのである。民族主義に勝利はない。このことは現代世界に嵐の如く吹き荒れている各種の民族主義にも共通する運命であることを知らねばならない。
 ヒトラーは敗北し、服毒自殺を果たしたが、日本軍国主義も敗北し、極東軍事裁判でA級戦犯として処刑された。死に方は違うが、爆発し散っていった(死んだ)という本質に変わりはない。


安倍政権が内閣改造という「衣更え」によっても評判が上がらないのは、その民族主義が現代の新しい時代に合致していないからである!

 8月7日付朝日新聞が行った世論調査によれば「内閣支持率は35%で、第2次安倍内閣の発足以降で最低だった7月調査の33%と比べ、ほぼ横ばいだった。不支持率は45%で、こちらも前回調査の47%から大きく変わらなかった。調査直前に行われた内閣改造は、支持率回復にはほとんどつながらなかった形だ」と。3日の改造内閣後各社も世論調査を実施したが、共通しているのは、内閣支持率は上がらず、依然として不支持率が高いことである。安倍政権は何としても支持率の急落を食い止めるため、内閣改造という「衣更え」によって、内閣支持率のアップを狙ったが横ばいで効果が無い。結局、最大の理由は「首相が信頼できない」ということである。首相は記者会見で反省を口にし、あれほど執着していた改憲についても「スケジュールありきではない」と言ったが、変化はないのである。
 どこに核心があるのか。それは安倍政権の右翼民族主義は封建制の遺物であり、現代の一国だけでは生きられない、モノもカネも人も簡単に国境を超えていくグローバルな時代には合っていないのである。歴史は資本主義の崩壊からコミュニティー共同体に向かっているのであり、封建制はもう過去のものなのである。安倍政権の評判が悪いのは何もやり方や言い方の問題ではなく、歴史の進展に安倍政権は合致していないのである。だから信頼が得られないのだ。前へ、前へと進む歴史が、古いものを拒否しているのである。ここに安倍政権の敗北がある。それが世論調査に表れているのだ。このことがわからないのであろうか。歴史はらせん的に前へと進む。ここに歴史科学がある。われわれは歴史の求めに応えて前へ、前へと進む。右翼民族主義の安倍政権にはそんなことは到底不可能であり、結局は歴史に反するが故に敗北し、崩壊せざるを得ない運命にあるのだ。
 人類が最初に、はじめてつくった社会は、原始的ではあったが、そこにはまさに共同と共生と連帯の人間的社会があった。そしていくたの回り道をしたが、その間により大きくなってもとに帰る。つまりより高度に発達した近代的コミュニティー国家と社会へ。ここから本当の人民の社会、人間の社会が生まれ、人類は総力をあげて大宇宙との闘い、新しい闘い、宇宙の開発と開拓の闘いに進軍するだろう。


結 語

▼哲学・歴史科学の運動法則が現在求めているのは、最大限の利益追求第一主義・物質万能主義と拝金主義・自由競争という名の弱肉強食・非人間的格差社会、という現代資本主義を否定する。
 そして人民の人民による人民のための世界・共同生産・共同分配・協力・共同・連帯の人間社会・大自然と共に生きる豊かな人間生活の実現、である。
 ▼コミュニティー、人民による人民のための人民の世界。それは国家、社会、生産活動の運営目的を、最大限の利益と利潤追求のみに注ぐのではなく、すべてを人民の生活と文化水準と社会環境の安心・安全・安定のために注ぐ。
 ▼金と物がすべてではなく、人間の心と自然の豊かさが第一であり、姿や形だけの美しさではなく、働く人びとの生きる姿と心の美しさが第一であり、一人だけで急いで先に進むのではなく、遅くてもみんなが一緒に進む。
 ▼人類とその社会は生まれたときから環境の産物であり、歴史的なものであった。環境が変われば人類とその社会も変わる。国家と権力が変われば人類社会は変わる。
 ▼そのための力こそ、すべてを人民のための・人民による・人民権力であり、その具体的表現たる人民評議会である。
 ▼人類が最初にはじめてつくった社会は、原始的ではあったが、そこにはまさに共同と共生と連帯の人間的社会があった。そしていくたの回り道をしたが、その間により大きくなってもとに帰る。つまりより高度に発達した近代的コミュニティー国家と社会へ。ここから本当の人間社会、人民の社会が生まれる。こうして人類は総力をあげて大宇宙との闘い、新しい闘い、宇宙の開発と開拓の闘いに進軍するであろう。