2018年(平成30年) 5月25日付 465号


『週刊朝日』(4月27日付)を通じて元首相・小泉純一郎氏は安倍首相に引導を渡し、政治評論家・田原総一朗氏は安倍首相の退任を主張した。これは日本の世論である。ここに日本の歴史時代があり、日本民族主義の運命がある!

『週刊朝日』(4月27日付)は、元首相・小泉純一郎氏「ついに安倍首相に引導を渡す」という見出しで、インタビュー記事を掲載、そこで小泉氏は次のように言っている。
 〔根本の嘘の始まりは国会で「私や妻が関わっていたのなら、総理大臣も議員も辞めます」だね。昭恵さんは森友学園の元名誉校長でしょう。森友学園へ行き、挨拶までし、関係しているのに、なぜ、あんな嘘を言い続けるのか。わかんないね。「私たちが関係していた」って正直に言えばいいのに。おかしなことをしてないなら、嘘をつく必要ないんだから。嘘の上塗りをするからおかしくなる。総理も国会議員も辞めると言ったので、本当ならとっくに辞めてなきゃいけないはず。なのに、ばれている嘘をぬけぬけと今も言ってるなぁとあきれているんだよ、国民は。…
――森友問題の発覚直後の昨年2月、8億円の値引きの根拠となった地下ゴミの撤去費をめぐり、財務省理財局が学園側に口裏合わせを要請したり、虚偽を記した文章に署名を求めたものの、拒否されたことを、太田充財務省理財局長が国会で白状しました。
 嘘を重ね、隠しきれなくなり、疑問はますます深まっている。
――沈静化していた安倍首相の友人、加計孝太郎氏が理事長の「加計学園」の獣医学部新設問題が再び国会で議論されています。2015年4月2日、官邸で愛媛県、今治市、加計学園の職員らが柳瀬唯夫・首相秘書官(当時)と面会した際、首相秘書官が「本件は首相案件」と伝えたとされる記録(備忘録)が出てきました。
(首相案件は)安倍さんは否定しているけどね。首相が一生懸命になっているのが分かったから、官邸、官僚らみんなが協力したんでしょう。…
――安倍政権はこの先どうなりますか。
 危なくなってきたね。安倍さんの引き際、今国会が終わる頃(6月20日)じゃないか。9月の総裁選で3選はないね。これだけ、森友、加計問題に深入りしちゃたんだから。来年の参議院選挙への影響が出る。国会が終わると、1年前から選挙運動の準備をするのでそろそろ公認を決めなきゃいけない。参院候補者が浮足立つ。安倍さんで選挙はまずいなと。
 このように小泉氏は、「もう引き際だ」「3選はないね」「バレてる嘘をぬけぬけと…」「国民はあきれてんだよ」「妻は関係しているじゃないか」とはっきり明言する〕と。
 また、同じこの週刊朝日は著名な政治評論家・田原総一朗氏の主張、「追い詰められた安倍首相、責任を取るべきだ」という一文も発表されている。田原氏はそのコラムでつぎのように叫ぶ。
〔次から次へと、政府にとって〝不都合な事実〟が露呈している。そのいずれもがリークである。
 4月2日に小野寺五典防衛相が、陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報が1月12日に確認された、と公表した。イラク派遣は小泉純一郎首相の時代である。なぜ今になって公表されたのか。しかも4日に防衛相は、実は去年の3月に陸自が確認していたのだと公表した。新たな謎が生じた。なぜ陸自は1年近くも隠ぺいしてきたのか、森友学園に関わる決裁文書改ざんで大騒ぎのこの時期に、しかも自らの恥をさらすような公表をするのか。さらにその後、航空自衛隊の日報があったこともわかった。
 また、森友学園問題は国会でもマスメディアでもほぼ過去のことになりつつあったが、3月2日に朝日新聞が、財務省が決裁文書を改ざんしていると1面トップで報じて火をつけた。もしも朝日新聞が報じなければ、財務省は改ざんを隠ぺいして、国民を騙し続けるつもりだったわけだ。いやしくも民主主義を標榜する国にあってはならないことである。
 さらに4月4日、NHKの19時のニュースが、財務省理財局の職員が、問題の国有地のゴミをトラック数千台で撤去したと言ってほしい、と森友側に頼んだ、と報じた。これが事実だとすると、8億円の値下げが先にあり、そのために大量のゴミを撤去したという嘘の理由を作ろうとしたのだということになる。しかし理財局にとって8億円値引きすることは何のメリットもない。もちろん必然性もない。となると、上、つまり政界から何らかの力が働いたのだと思わざるを得ない。
 それにしても、3月2日の朝日新聞の報道は自信にあふれていて、私は財務省の何者かがリークしたのではないか、と考えていた。ところが事情通たちは、大阪地検のリークではないかと捉えているようだ。それが事実だとすると、地検は何をどうしようと図っているのだろうか。さらに、NHKのニュースもよほどの確証がなければ報じないはずだが、それを掴んでいるのは地検である。
 そして4月10日に朝日新聞と東京新聞が、〝2015年4月2日に、愛媛県と今治市、加計学園の幹部たちが首相官邸を訪問して柳瀬唯夫首相秘書官(当時)らと面会した際に、柳瀬氏が「本件は首相案件になっており、内閣府の藤原次長のヒアリングを受ける形で進めてほしい」と発言したと、愛媛県の文書に記載されている〟と報じ、その日、中村時弘知事が認めたことが確かめられた。
 となると、安倍首相が、17年1月20日までまったく知らなかった、と国会で答弁したことの信ぴょう性が問われることになる。
 柳瀬氏も国会で〝面会した記憶がない〟とあいまいな答え方をしている。面会を認めれば、安倍首相が嘘を言っていたことになり、このように答えるしかなかったのであろう。
 だが、文書の作成を県知事も認めたとなると、安倍首相の信認が強く問われざるを得ない。11日の国会でも、安倍首相は、説得力のないはぐらかしをくり返すばかりであった。
 安倍首相は、「私や妻が森友学園の許認可や土地売買に関わっているとすれば、私は首相も議員も辞める」と国会で答弁した。森友学園ではあのように答弁したが、加計は違う、などという弁解は認められない。
 はぐらかしはいつまでもは通用しない。安倍首相は責任を取るべきではないか〕と。
 以上のように、世論はもはや安倍政権を見捨てている。しかし、多くの発言は、その核心たる政権の本質つまり安倍政権は、そのやり方や、個々の政策の誤りにあるのではなく、その民族主義という政治上の本質が問題であり、それがみごとに失敗している、という大事な点が欠けている。このことをもっとはっきりと、しっかりと訴える、ということが大切である。
 現代世界はいたるところで民族主義が溢れている。民族主義が激突している。民族主義に未来はない。現代の歴史時代は民族主義を拒否する。現実にいま世界で激突している民族主義の現状を見ればわかるとおり、すべてはその国の内政が困難になり、混とんとしており、ここからの脱出に四苦八苦している。そのこと(内因)が国民の目を外に向けさせるために外交問題を引き起こしているのである。しかしこれは絶対に成功しない。それは多くの国際問題をめぐる歴史が証明しているところである。


古代最大の帝国、ローマは世紀476年、その内紛によって崩壊する。これがパスクローマナ(ローマによる平和と繁栄)の時代は終わり、民族主義にもとづく戦争と内乱と自滅の封建制へ移行する!

その最初の封建制国家はフランク王国であった。この王国はローマ帝国を解体させた北方の部族、ゲルマン族のなかのフランク族を中心にした各種弱小部族の連合体であり、ローマの崩壊のあと「われわれのローマを作ろう」と決起した。「われわれの手で新しいローマによる平和と繁栄を作るのだ」というスローガンで各部族を統一させた。こうして人類最初の封建制国家「フランク王国」が成立した。だがこの王国は486―987という時代区分では非常に短い時代であり、各種部族の連合体であるために争いが絶えず、最後は分裂し、現代の英、仏、独、伊となった。
 世界に広がるあらゆる対立と抗争はみなこのような民族主義の激突であり、封建制の遺物でもある。
 故に民族主義は時代に合致しない古い政治思想であり、現代の歴史時代がこれを拒否してしまう。だから世界に広がるこの民族主義は絶対に成功しない。世界中に広がる民族主義の抗争はみな行き詰まり、敗北しているではないか。アメリカのトランプ政権も、日本の安倍政権も、ロシアも、中国も、その民族主義政権はみな行き詰まっている。
 それにもかかわらず、なぜ古い民族主義が出てくるのか。これは現代の歴史時代、崩壊する資本主義の必然の産物である。つまり、崩れ行く者の哀歌である。
 安倍政権についていろいろと評論をする人びとは、目の前のあれこれについて評論するとき、このような歴史時代を哲学・科学的にその本質をよくつかんで、歴史時代認識にもとづいて論じないとその方向性がぼけてしまう。そして今何をすべきかが不明のままに終わる。


われわれは安倍政権に対して次のように対応しなければならない。

㈠、安倍政権の本質、つまりその民族主義政権の本質をあばき、歴史に逆らうその反動性を強く非難する。
㈡、あらゆる形の行動を通じて安倍内閣の打倒を呼びかけ、行動を組織する。言論だけでは権力は倒れない。行動を組織して闘わなければだめである。
㈢、そしてこれに代わる共同体政権(人民による人民のための人民の政権)の樹立を訴える。


結 語
 われわれの未来展望とそのスローガン!

われわれはすべてを哲学・歴史科学的世界観に徹するよう呼びかける。われわれは一貫して次のような科学的世界観、歴史科学観を提起する。
 ① 人類とその社会は永遠の過去から永遠の未来に向かって運動し、発展し、爆発し、収れんされつつ前進していく。そのエネルギーは人間の生きる力であり、その物質的表現としての生産力である。
 ② 生産力の発展がその度合いに応じて生産関係としての人類社会(国家)を作り出していった。それは最初の原始共同体、次の奴隷制、封建制、資本主義制、そして社会主義へと一貫して生産力の発展が生産関係(国家)を変化させていった。これからもそうなる。
 ③ 物理学が証明しているとおり、すべての生物は環境が作り出していく。人類もまた環境の産物であり、進化していった。環境が人間を変えていく。新しい環境と新しい社会は新しい型の人間を作り出していく。
 ④ 人類の歴史を見ればわかるとおり、一つの支配権力、一つの国家形態が永遠であったことは一度もない。歴史は常に運動し、変化し、発展し、転換して次々と新しい時代を作り出していった。そして歴史を見ればわかるとおり、変化は静かで一直線ではない。爆発と収れんは歴史法則である。歴史は必然を持って前を目指すが、その過程では常に偶然が伴う。偶然は必然のための産物であり、偶然は必然のための糧である。そして必然の世界とは人民の人民による人民のための世界であり、より高度に発展したコミュニティー社会である。歴史は到達すべきところに必ず到達する。
 ⑤ コミュニティーとは何か。人民による人民のための人民の世界とは何か。それは国家、社会、生産活動の運営目的を、最大限の利益と利潤追求のみに注ぐのではなく、すべてを人民の生活と文化水準と社会環境の安心・安全・安定のために注ぐ。
 ⑥ 生産第一主義、物質万能主義、拝金主義、弱肉強食の国家と社会ではなく、人間性の豊かさと人間の尊厳と人間としての連帯と共生の国家と社会にする。
 ⑦ 金と物がすべてではなく、人間の心と自然の豊かさが第一であり、姿や形だけの美しさではなく、働く人びとの生きる姿と心の美しさが第一であり、一人だけで急いで先に進むのではなく、遅くてもみんなが一緒に進む。
 ⑧ 人類とその社会は生まれたときから環境の産物であり、歴史的なものであった。環境が変われば人類とその社会も変わる。国家と権力が変われば人類社会は変わる。
 ⑨ そのための力こそ、すべてを人民のための・人民による・人民権力であり、その具体的表現たる人民評議会である。運動と闘いの中でいたるところに評議会を組織せよ。人民の要求、人民の意志としてここで主張する。そして権力として、歴史時代が求める自らの責任と任務を執行させる。
 ⑩ 人類が最初にはじめてつくった社会は、原始的ではあったが、そこにはまさに共同と共生と連帯の人間的社会があった。そしていくたの回り道をしたが、その間により大きくなってもとに帰る。つまりより高度に発達した近代的コミュニティー国家と社会へ。ここから本当の民主主義にもとづく人間社会、人民の社会が生まれる。こうして人類は総力をあげて大宇宙との闘い、新しい闘い、宇宙の開発と開拓の闘いに進軍するであろう。