2014年(平成26年)1月25日付 413号


現代資本主義の現状をみよ。アメリカ帝国主義の一極支配の終了、無極時代が引き起こす全世界の混乱、動揺、対立、抗争、テロ、内乱という現実をよくみよ!

二〇一四年一月アピール
日本人民戦線議長 
平岡恵子

 新しい年を迎え、人民戦線運動の幹部と活動家の皆さん、人民戦線と共に闘う先進的な皆さん、そしてすべての方々に連帯のごあいさつを申し上げます。
 去る二〇一三年はすべてがわが人民戦線の歴史時代認識の正しさを証明した一年でした。私は「二〇一三年一月アピール」で次のように提起しました。
 「『二〇一二年、資本主義経済大清算の年になる』(高橋乗宣エコノミスト・浜矩子同志社大学教授共著・二〇一一年十一月、東洋経済新報社刊)の予見は正しかった。現代資本主義の崩壊は必然の道を進んでいる。その先にあるのは新しい時代・現代コミュニティーである!」と。そして「資本主義は行き詰まり、民族は独立し、国家は自立し、大衆は自覚し、こうして歴史はコミュニティーを目指して前進する。この歴史科学の法則は必然である。歴史を信じて前進しよう」と呼びかけました。この二〇一三年アピールは、みごとにこの一年間を通じてその正しさを立証したのであります。
 世界資本主義をリードしてきたアメリカは完全に破綻し、一極支配は終りました。欧州(EU)は火薬庫です。第二の経済大国となった中国はあらゆる専門家が共通して指摘するとおり、もはやバブルの崩壊、爆発は避けられません。「アラブの春」の運命はエジプトの軍事クーデターに見られるように完全に破綻しました。日本のアベノミクスについては、一部で景気や経済がよくなっていると言われますが、実体経済は何も変化していません。実体経済抜きの金融・財政政策で現在の日本経済が成り立っているのです。これがバブルであります。バブルは必ず破綻するのです。これらのことは経済専門家の間ではすでに一致していることであります。
 世界史の未来はコミュニティー・共同体以外にありません。この新しい時代はすでにヨーロッパから芽が生まれつつあります。この芽はやがて二十一世紀の世界を支配するでありましょう。
 二〇〇一二年二月九日付の朝日新聞によると、ヨーロッパ共同体(EU)の経済危機の中で各地に自衛のため地域共同体社会を作る運動が広がっているということです。イタリア北部の都市ブラ、フランス南部のトゥールーズ、スペイン北部のサルバテラ、などではアメリカのスーパー、マクドナルドの出店に反対し、「地中海のゆるやかな暮らしは変えなくていい。過剰な消費をやめ、慎み深かった頃に戻るべきだ」「食べ残しを減らそう、過剰な消費を考え直そう」「今の危機は、麻薬に侵されたような成長とスピードばかりを優先してきた資本主義のあえぎだ。正すべきは、それに侵された私たちの生き方だ」という大衆の声を広く呼びかけ、「コンビビア(共同体)運動」を開始、それはヨーロッパの各地、世界一二〇ヶ国(一五〇〇支部)に広がっている、ということです。
 世界中に旧体制崩壊と、新しい世界としてのコミュニティー・共同体が生まれつつあるのです。破壊の中から、新しい建設が始まっているのです。歴史科学の偉大さを再確認しようではありませんか。


(一)高橋乗宣・浜矩子両氏の著『二〇一四年戦後最大級の経済危機がやって来る!』に注目しよう。これは現代の歴史時代と現代資本主義を総括し、その運命を展望した歴史的文献である。先進的人々と分子はこれに正しく対応しよう!

 高橋乗宣・浜矩子両氏は十一月『二〇一四年戦後最大級の経済危機がやって来る!』(東洋経済新報社)と題する著作を発表しました。この本は、衝撃的であり、今各方面で大きな注目をうけています。
 私の見解は次の通りです。
 第一、高橋、浜両氏は現代世界の歴史時代はいかなる歴史時代かについて、あらゆる経済統計を使って検証しています。その結論がこの著作の内容となったのであります。
 高橋、浜両氏がこの著作で展開している歴史時代認識は科学的なものであり、正しいものです。私たちは現代の歴史時代、そして私たちの科学的歴史観に確信と信念を持とうではありませんか。
 第二に、強欲資本主義が崩れ去った後の世界は何か。このことについて両氏は著作の中で、金融資本の強欲資本主義でも、あるいは弱肉強食の市場原理主義でもない、本当の人間社会が到来すると言っています。人間の、人間による、人間の世界、協力と共同、連帯の人間世界、つまりコミュニティー共同体社会に立ち返る以外にない、と主張しています。これはまったく正しい歴史観であります。
 第三に、高橋、浜両氏は、この著作の中で歴史科学にもとづいて人類社会の未来展望が示されていることに私たちは大いに注目するのであります。歴史科学の法則とは、生産力の発展に応じて、生産関係、国家と社会は永遠に発展していく、との科学的見地から将来を予言していることであります。まさに両氏が主張している通り、歴史は一貫して前へ、前へと進んでいく。後戻りはしないのであります。


(二)人類の歴史は科学である。すべては歴史科学の法則が支配している。資本主義は崩壊し、新しい時代、コミュニティー社会をめざして前進する!

 現代資本主義は世界的規模において混迷と混乱と迷走に陥っています。アメリカの一極支配は終わりました。世界は無極状態になったのです。経済・政治・社会のすべての分野にわたってあらゆる矛盾が爆発しています。
 アメリカ自身が崩壊しています。国家財政の破綻、貧困大国、格差社会と失業の国、国際テロにおびえる、他民族国家内の分裂と対立はいっそう深まります。
 ヨーロッパ共同体(EU)はギリシアの財政危機を契機に、これが他の国々に波及、EUに南北格差が生まれ、若者中心の失業と貧困は深まる一方となりました。
 アメリカに次ぐ世界第二位の経済大国となった中国は、貧困と失業、格差はすべての分野に拡大、汚職と腐敗、非人間的な強制と弾圧、言論統制に反抗して、年間二〇万〜三〇万件の暴動が発生しているのです。歴史科学の必然性はここにも大変革の嵐がやってくる、ということです。中国とは、共産主義や社会主義ではなく、一九七六年の毛沢東死後、一九八〇年以降、完全に社会主義は放棄され、すべての面で資本主義化されました。資本主義と運命共同体の中国の前途は嵐であります。
 これらの現象はみな、現代世界、現代資本主義、現代の歴史時代、つまりは人類の世界が大転換期にあり、根本的な変革を求める歴史の激動なのであります。ここに歴史科学があるのです。
 歴史が求めているのは何か。それは現代世界を支配している独占資本主義の支配が生み出す市場原理という名の弱肉強食、最大限の利益追求、物質万能主義と拝金主義、人間性そう失の腐敗と堕落からの脱出、そのための階級なき人民の世界、コミュニティー共同体なのです。


(三)「私は社会主義者ではないが、資本主義は自己破壊的だとしたカール・マルクスの指摘は正しかった」(ニューヨーク大学教授ヌリエル・ルービニ)!

 現代世界の各国の政権はみなぐらついています。根本問題が解決しないことが原因です。国家財政の赤字、経済的不況、貧困と格差、若者の失業、これらすべては資本主義とその国家権力の拝金主義が生み出すものです。故に資本主義の枠内では解決せず、各国の政権はみな対症療法と先送り論に陥ってしまいました。そしてこれらは現代資本主義の病と苦悩の表れとなりました。ここに資本主義の危機、行き詰まりがあり、もう資本主義はやっていけなくなったのであります。
 アダム・スミスとその古典経済学とその亜流はみな完全に破綻しています。彼のいう「人間欲望の自由放任」の世界、資本主義と独占支配の世界は戦争と殺りく、暴力と犯罪、欲望のままの世界であり、アダム・スミスの言うところの「見えざる神の手」などどこにもありませんでした。もしもあるなら、ここが「神の手」の出番です。出してみよ! まったく通用しないではありませんか。自由放任、無政府主義、無計画性という現代資本主義経済学の産物としての世界的金融危機であり、資本主義崩壊は必然の結果なのです。
 だから、アメリカ、ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授は「世界的な金融危機と景気後退が再び訪れる可能性は排除できない…。私は社会主義者ではないが、資本主義は自己破壊的だとしたカール・マルクスの指摘は正しかった」(二〇一一年十一月十八日付日本経済新聞)と断言するに至ったのであります。
 マルクスは一八四四年に『独仏年誌』を発刊しました。エンゲルスはこのことを知り、イギリス資本主義の現状を分析した貴重な文書『経済学批判大綱』を寄稿しました。
 エンゲルスはこの論文の中でつぎのように論じています。資本主義経済はますます機械化された大工業となる。大量の労働者とその労働は必然的に協力と協同と連帯の作業、つまりは社会的な性質を帯びてくる。その生産物もまた大量となり、広く社会的な需要を考慮せざるを得なくなる。ここにも社会的要素が強くなる。にもかかわらず、イギリス資本主義は、すべてが個人主義であり、個人的欲望と利益追求だけである。その結果、すべての経済活動は盲目的となり、無政府的となる。生産活動に従事する働く人びと(労働者)は、生産物は増大するのに得るものは少なく、社会的不公平と不平等は拡大する。この矛盾を解決するためには、生産手段(土地、工場、建物、機械、道具、交通手段)を社会的所有、公のもの、社会主義に移行させることである、と。
 そしてエンゲルスは『共産主義の原理』(一八四七年)の中で、真の自由と民主主義、真の平等と公平と人間性の豊かさは、国家と社会そのものが、協力と共同のコミュニティーでなければならず、生産活動もまた個人主義ではなく、社会的欲望(社会の需要)と社会的人間の欲望(大衆的人間の需要)に答えられる目的・意識的、計画的生産、計画経済でなければならない、と主張しました。
 マルクスとエンゲルスが明確にしたとおり、独占資本主義と帝国主義の経済法則はまさに盲目的であり、無政府的であります。それはスミスの古典経済学が説くように、人間欲望の自由放任と自由主義が生み出す必然の法則だからです。
 人類の歴史は自由主義・盲目主義・無政府主義か、目的意識的・計画的・社会主義的計画経済か、という根本問題を提起しています。歴史は科学的法則のもとに立ち返るよう求め、転換せんと爆発しているのです。


 私たちの未来展望とそのスローガン

 私たちはすべてを歴史科学的世界観に徹するよう呼びかけます。私たちは一貫して次のような科学的世界観、歴史科学観を提起します。
 @人類とその社会は永遠の過去から永遠の未来に向かって運動し、発展し、爆発し、収れんされつつ前進していく。そのエネルギーは人間の生きる力であり、その物質的表現としての生産力である。
 A生産力の発展がその度合いに応じて生産関係としての人類社会(国家)を作り出していった。それは最初の原始共同体、次の奴隷制、封建制、資本主義制、そして社会主義へと一貫して生産力の発展が生産関係(国家)を変化させていった。これからもそうなる。
 B物理学が証明しているとおり、すべての生物は環境が作り出していく。人類もまた環境の産物であり、進化していった。環境が人間を変えていく。新しい環境と新しい社会は新しい型の人間を作り出していく。
 C人類の歴史を見ればわかるとおり、一つの支配権力、一つの国家形態が永遠であったことは一度もない。歴史は常に運動し、変化し、発展し、転換して次々と新しい時代を作り出していった。そして歴史を見ればわかるとおり、変化は静かで一直線ではない。爆発と収れんは歴史法則である。歴史は必然を持って前を目指すが、その過程では常に偶然が伴う。偶然は必然のための産物であり、偶然は必然のための糧である。そして必然の世界とは人民の人民による人民のための世界であり、より高度に発展したコミュニティー社会である。歴史は到達すべきところに必ず到達する。
 Dコミュニティーとは何か。人民による人民のための人民の世界とは何か。それは国家、社会、生産活動の運営目的を、最大限の利益と利潤追求のみに注ぐのではなく、すべてを人民の生活と文化水準と社会環境の安心・安全・安定のために注ぐ。
 E生産第一主義、物質万能主義、拝金主義、弱肉強食の国家と社会ではなく、人間性の豊かさと人間の尊厳と人間としての連帯と共生の国家と社会にする。
 F金と物がすべてではなく、人間の心と自然の豊かさが第一であり、姿や形だけの美しさではなく、働く人びとの生きる姿と心の美しさが第一であり、一人だけで急いで先に進むのではなく、遅くてもみんなが一緒に進む。
 G人類とその社会は生まれたときから環境の産物であり、歴史的なものであった。環境が変われば人類とその社会も変わる。国家と権力が変われば人類社会は変わる。
 Hそのための力こそ、すべてを人民のための・人民による・人民権力であり、その具体的表現たる人民評議会である。
 I人類が最初にはじめてつくった社会は、原始的ではあったが、そこにはまさに共同と共生と連帯の人間的社会があった。そしていくたの回り道をしたが、その間により大きくなってもとに帰る。つまりより高度に発達した近代的コミュニティー国家と社会へ。ここから本当の人間社会、人民の社会が生まれる。こうして人類は総力をあげて大宇宙との闘い、新しい闘い、宇宙の開発と開拓の闘いに進軍するであろう。
 以上で私の新年アピールを終わります。