2015年(平成27年)3月25日付 427号


右翼民族主義の失敗から左翼民族主義を生み出した現政権もまた同じ運命を進む。こうして歴史は人民の世界たるコミュニティー共同体を求めて前進する!

人類の歴史上、現代ほど地球的規模にわたる大混乱の時代はなかった。テロと暴力、暴動と反乱、クーデターと内乱、政治と権力の不安定、権力移動の激しさ。そしてこれらの混乱と混迷と迷走は、国境を越え、民族の差を超え、経済的・政治的・社会的連鎖のなかで各国を巻き込んでいる。もはや現代社会、現代政治、現代資本主義は人類社会を正しく導く能力を失ってしまった。現代独占資本主義制度はついに寿命が尽きてしまったのである。現代地球上に発生している悲観的現象のすべては、新しい人類社会とその制度を生み出すための陣痛の苦しみなのである。
 世界を見れば、地球上最後の帝国主義であるアメリカの一極支配がついに終わりを告げ、現代資本主義は求心力を失い、無重力世界が出現、遠心力が作用し、俺も俺もとばかり、民族主義が世界に広がった。そしてバラバラとなり、資本主義崩壊を決定づけたのである。
 ヨーロッパ共同体(EU)内にも右翼民族主義政党が各国に出現、EU解体の声も出現しつつある。こうしたなかでギリシャ問題が発生したのである。ギリシャ政権は左翼民族主義政権であり、これはまさにギリシャ左翼民族主義のEUへの反乱である。だが歴史が教えているとおり、民族主義に未来はない。ギリシャは敗北し、EUという大国(独占的資本主義)によって押しつぶされてしまうであろう。
 ギリシャ問題の本質はつぎの点にある。
 ギリシャ問題は現代資本主義の縮図である。
 ギリシャは内部崩壊せざるを得ない。それは市場原理主義という弱肉強食主義の資本主義制が生み出す必然性なのである。
 右翼民族主義の失敗から左翼民族主義を生み出した現政権もまた同じ運命を進む。こうして歴史は人民の世界たるコミュニティー共同体を求めて前進する。


ギリシャ問題の現状。いまギリシャはどうなっているのか!

 <二月二十二日付『読売新聞』が大きなスペースでギリシャ問題を扱っているのでその要点を紹介しておこう。ここに客観的現状がある>
 EU強硬、折れたギリシャ
 1月に誕生したギリシャのチプラス政権は、国内の高い失業率を理由に「人道的な危機」を訴え、景気対策を優先するために、支援の条件となっている緊縮財政を緩和するよう要求。総額2400億ユーロ(約32兆円)に上るこれまでの支援による債務の減免を求め、支援延長も当初は拒否した。
 バルファキス財務相が「ユーロ圏はカードで作った城のようなもの。ギリシャを取り除けば全体が崩れる」と発言するなど、自国を発端に2010年に深刻化した欧州債務危機の再燃を連想させ、EU側の譲歩を引き出す戦略に徹した。
 これに対し、最大支援国のドイツなどはギリシャの要求に強硬に反対し、「財政緊縮を望まない以上、選択肢を考える必要はない」(ショイブレ独財務相)と突き放した。EUにとってギリシャに特例を許せば、財政基盤が弱いスペインやポルトガルなどでも「反緊縮」の波が広がることを警戒したためだ。
さらにギリシャ側は外堀を埋められている。国内銀行からは預金の流出が始まり、新政権の「バラマキ」政策による減税を期待して国民が納税を控え、税収も落ち込んだ。
 3月には多額の債務返済が待っている。2月末に支援が打ち切られれば、財政破綻は目に見えており、ギリシャには譲歩しか選択肢が残っていなかった。
 チプラス政権にとって頼みの綱は国民からの支持だが、今後の新たな交渉で再びEU側に譲歩し、最低賃金の引き上げや減税など国民に人気の高い選挙公約を撤回する事態となれば、政権の基盤を失うことにもつながりかねない。


借金減らず、高い失業率

 ギリシャは債務危機が深刻化した2010年以降、緊縮策により、ギリシャの国内総生産(GDP)は危機前から2割以上縮小した。債務(借金)の総額はほとんど減っていないため、財政状況を示す指標である「GDPに占める債務残高の割合」は、10年の148%から、14年には174%と悪化した。失業率も25%を上回り国民生活は楽になっていない。こうした現状を受け、チプラス政権は「(ドイツなどに押し付けられた)緊縮策は失敗」と主張してきた。
 だが、EU側の態度は一貫して冷ややかだ。「ギリシャが破綻しても、他のユーロ圏への波及は限定的」(米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ)との見方が少なくないからだ。


現代資本主義は頂点に達し、老いてしまい、ただ利ざやだけを追い求めて動く金融資本主義が暴れまわっている。もう未来はない。故に「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫著作)に達したのである!

 資本主義、その最高の段階たる金融独占資本主義の時代は、アダム・スミスの古典経済学が教えるとおり、それは人間欲望の自由放任主義であり、まさに「欲望資本主義に憑かれた人間たち、モラルなき利益至上主義に蝕まれた世界」なのである。そこから生まれてくるのが格差社会、非正規雇用、派遣社員、パート社員、ネットカフェ難民、ホームレス、働く貧困層(ワーキングプア)、無差別殺人、理由なき犯罪、暴走する人間の欲望、など以前には考えられなかった各種の凶悪犯罪が出現する。これらはすべて、現代資本主義、独占資本主義、その国家と権力の拝金主義支配が生み出す毒素である。それは本質的に、現代独占資本の国家と権力支配への反抗であり、一種の闘いであり、矛盾の爆発である。それは必然性を持って階級闘争、権力闘争へと転換する予備的現象である。
 一切の問題を解決する最後のカギはプロレタリア独裁である。その内容は、@前衛党の存在とその正しい路線と指導力。A人民闘争、人民戦線にもとづく真の統一戦線。B人民権力としての評議会、である。その国家と社会は、近代的コミュニティーである。ここに人類の到達点がある。
 人類の歴史は原始時代―奴隷制時代―封建制時代―資本主義時代へ、そして現代独占資本と帝国主義の時代に登りつめた。資本主義の頂点に達した現代、らん熟し、腐敗し、堕落してしまった現代、その権力はもはや統治能力を失ってしまった。もはや老いてしまったのである。


現代資本主義世界を引っかき回している金融資本主義の本質を鋭く論評した二人の著名な知識人の論評を見よ。ここに現代世界の本質がある!

 堺屋太一氏の論評
 二〇〇七年夏ごろから始まったアメリカの金融危機、二〇〇八年九月に発生したリーマンショック、このアメリカの金融危機が全世界を大混乱に陥れた。その危機を作り出した原因はアメリカのサブプライム・ローンの破綻であった。そこで、ではサブプライム・ローンとは何か、ということについて堺屋太一氏は明確に答えている。
 通産省の元高級官僚で国務大臣を務め、現代は作家であり、ジャーナリストの堺屋太一氏は『中央公論』二〇〇八年十二月号で「サブプライム・ローンとはノーベル賞級の詐欺である」と喝破している。堺屋氏のいうとおり、それは誠に複雑怪奇な仕組みで大衆を収奪する強欲な制度である。政府が背後で保証し、信用の低い大衆の個人的欲望に付け込んで住宅ローンを組ませる。そのとき、直接大衆と接触するのは仲介業者(ブローカー)である。彼らはあの手、この手を使って顧客を獲得する。その人が果たしてローンを返済できるのかどうかは関係ない。彼らの収入はそのマージンであるからひたすら数をこなすのが目的で、自分の儲けが第一なのだ。銀行・金融機関もどんどん貸し出していく。やがて訪れるそのリスクに備えて貸し付け証書を証券(株券)にして世界中に売りさばく。これを買う金融機関や業者たちは、アメリカ政府が保証しているから信用してしまう。そしてアメリカ経済の困難によっていよいよローンが破綻するに至ったとき、アメリカ自身の金融機関は、政府による「公的資金」の投入によって救済される。公的資金とは国民の税金である。救済された金融機関の役員たちは数十億円の報酬や、数百億円の退職金を得て涼しい顔である。堺屋太一氏が「ノーベル賞級の詐欺」だというのはこのことである。これはまさに「金融寡頭支配」の産物そのものである。
 ポール・ケネディ氏の論評
 世界資本主義は十八世紀の産業革命、十九世紀の独占資本主義から帝国主義へ。これは産業独占から金融独占への転化であり、すべては金融支配、金融寡頭支配への移行であり、すべてはカネが支配するに至った。そして当然世界は一つになり、経済的に単独で、一国だけでは成り立たなくなった。グローバル(世界的・国際的)な世界なのである。
 このことの本質について、ポール・ケネディ(イギリスの著名な歴史学者で、その主著『大国の興亡』は世界的なベストセラーになった)は、二〇一一年七月十日付読売新聞に『地球を読む』という欄でつぎのように書いている。
 「ドル支配の時代は終わりに近づいている……問題は、米国の信用が疑われていることだ。……大きな勝者は投資家たちだろう。今日の国境なき世界において、彼らは国家的な忠誠心を持たず、一日中、利ざやを求めて動く。彼らは商品市場のあらゆる理性を破壊した。銅の先物買いをするのは、銅線を作るためではなく、翌日売って15%の利益を得るためだ。どこかの国の通貨を、破綻に追い込むほど売り買いすることもできる。遊べる準備通貨が三つもあれば、彼らは大喜びするだろう。……なぜなら……世界を動かしているのは、まさに通貨だからである」と。
 このポール・ケネディの一言は、みごとに現代資本主義の本質、金融独占資本主義の本質、現代資本主義崩壊の必然性を明確にしている。そしてまた、ポール・ケネディは無意識の中の意識性として、あのマルクスの『経済学批判・序言』が明確にした「生産力の発展が生産関係を規定する」という学説の正しさを、ポール・ケネディ的に証言したのである。歴史は否応なしにマルクスを求めて運動する。

哲学・歴史科学の法則は、資本主義崩壊は必然であり、その後は人民の世界であり、コミュニティー共同体から社会主義への道であることを示している。これは科学的法則である!
     ―コミュニティー共同体とは何か―


人類の歴史はそのエネルギー(生産力)によって一貫して運動し、前進し、発展し、転換(変革)されてきた!

 エンゲルスは『自然弁証法』(1875年)によって宇宙と万物を支配するエネルギーの運動法則の産物としての現代世界のあり方を解明した。
 マルクスはその著作『経済学批判・序論』(1859年)によって人類世界の歴史と未来展望について哲学・歴史科学的に解明した。哲学歴史科学観の核心はつぎの点にある。
 @ 人類の歴史とその社会(国家と社会制度)のあり方を決定するのはエネルギーとしての生産力である。「生産力が生産関係を決定する」。つまり、経済力が生産関係たる国家と社会のあり方を規定していく、ということである。生産力とは人間の労働能力だ。
 A 生産力は常に前進し、発展していく。一ケ所で止まった時代は一つもない。これにもとづいて国家と社会も常に変化していった。原始時代―古代―中世―近世―そして現代という歴史過程を見ればはっきりしている。
 B 歴史は常に運動し、前進し、発展し、転換していくのであって一ケ所に止まっているわけではない。現代資本主義はつぎの時代たるコミュニティー共同体から社会主義へと移行せざるを得ない。これは哲学歴史科学が進む必然の道である。
 C 哲学・歴史科学の運動法則が現在求めているのは、最大限の利益追求第一主義・物質万能主義と拝金主義・自由競争という名の弱肉強食・非人間的格差社会、という現代資本主義の否定である。
 そして人民の人民による人民のための世界・共同生産・共同分配・協力・共同・連帯の人間社会・大自然と共に生きる豊かな人間生活の実現を求めているのである。
 D 現代資本主義は独占と帝国主義の時代、最高度の段階に到達し、登り詰めてしまった。エネルギーの運動法則から転換せざるを得ない。これで人類の前史は終わり、新しい歴史時代に移行する。
 E この人類の後半たる新しい歴史時代とは何かについてエンゲルスは『自然弁証法』で明言している。「人類は挙げて大宇宙との闘いに進軍する」と。
 そしてマルクスの学説の正しさは、歴史そのものが、事実で証明しているのである。


コミュニティーとは何か!

 ▼ 哲学・歴史科学の運動法則が現在求めているのは、最大限の利益追求第一主義・物質万能主義と拝金主義・自由競争という名の弱肉強食・非人間的格差社会、という現代資本主義を否定する。
 そして人民の人民による人民のための世界・共同生産・共同分配・協力・共同・連帯の人間社会・大自然と共に生きる豊かな人間生活の実現、である。
 ▼ コミュニティー、人民による人民のための人民の世界。それは国家、社会、生産活動の運営目的を、最大限の利益と利潤追求のみに注ぐのではなく、すべてを人民の生活と文化水準と社会環境の安心・安全・安定のために注ぐ。
 ▼ 金と物がすべてではなく、人間の心と自然の豊かさが第一であり、姿や形だけの美しさではなく、働く人びとの生きる姿と心の美しさが第一であり、一人だけで急いで先に進むのではなく、遅くてもみんなが一緒に進む。
 ▼ 人類とその社会は生まれたときから環境の産物であり、歴史的なものであった。環境が変われば人類とその社会も変わる。国家と権力が変われば人類社会は変わる。
 ▼ そのための力こそ、すべてを人民のための・人民による・人民権力であり、その具体的表現たる人民評議会である。
 ▼ 人類が最初にはじめてつくった社会は、原始的ではあったが、そこにはまさに共同と共生と連帯の人間的社会があった。そしていくたの回り道をしたが、その間により大きくなってもとに帰る。つまりより高度に発達した近代的コミュニティー国家と社会へ。ここから本当の人間社会、人民の社会が生まれる。こうして人類は総力をあげて大宇宙との闘い、新しい闘い、宇宙の開発と開拓の闘いに進軍するであろう。
(以上)