2015年(平成27年)12月25日付 436号


その背景と土台にあるのは、全世界を被う失業と貧困、格差、差別と疎外、戦争と内乱、生活不安と前途への失望、政治不信と社会への怒り、であり、すべては資本主義の危機が生み出したものである!

 現代の歴史時代とは何か。それは世界は無重力の時代であり、漂流する時代であり、大衆の怒りがいたるところに爆発している時代である。その根底にあるのは資本主義というこの政治・経済・社会制度が生み出す必然の産物としての抑圧と生活苦、失業と貧困、格差社会の拡大と前途への不安、である。この現象と原因については水野和夫氏の著作『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)が正しく解明しているとおりである。つまり歴史は人類社会の根本的転換期に到達しているのであり、人類社会は永遠に存在し続けるために、原始社会から奴隷制へ、そして封建制から資本主義へ、こうして次の時代たるコミュニティー共同体へと変わらなければならない時代に到達しているのである。歴史は変化を求めて爆発する。
 これは哲学・歴史科学の必然の法則である。この必然性が、人類社会最後の帝国主義国家たるアメリカ帝国主義の一極支配を終わらせた。その結果ついに世界は重力を失い、無政府状態となり、バラバラになり、必然的に、人間欲望の自由主義の国家形態たる民族主義が一斉に爆発したのである。
 今日、全世界に吹き上がる対立と抗争、内乱と暴動、国家間の紛争と非難合戦などはみな、すべては歴史と民族主義の爆発である。民族主義が形や姿を変えて、宗教対立となり、経済紛争となり、国境紛争となる。しかし歴史が証明しているとおり、民族主義に未来はない。歴史が封建制の遺物としての民族主義を拒否するのである。それは、民族主義の典型であったヒトラーと日本軍国主義の歴史が明確に証明しているとおりである。民族主義は戦争の源泉でもある。
 そして特筆しておかねばならないのは、現代ヨーロッパを大混乱と動揺に落し入れている難民問題である。内戦が続く中東、シリアなどからヨーロッパに殺到する難民・移民はすでに200万人となり、第二次世界大戦以来の最大の危機と呼ばれる事態となっている。それが欧州連合(EU)内の各種の矛盾と結びついてヨーロッパの危機を生み出している。
 平和と生活と身の安全を求め、祖国と故郷を捨て、流浪の民となって、当てもなく、これだけの多くの民がさ迷うような時代は今までなかった。ここに現代資本主義の政治的危機がある。もはや現代資本主義に人類を豊かにする能力はなくなった。ここにも歴史の転換期を見ることができる。すべては「資本主義の終焉と歴史の危機」という経済上の土台が、このような政治的・社会的危機を生み出しているのである。


フランス・パリにおける同時多発テロは、アメリカにおける同時多発テロ(9・11事件)の再現であり、歴史は繰り返す!

 フランス・パリ中心部の劇場やレストラン、スタジアムなど少なくとも6カ所で、11月13日午後9時(日本時間14日午前5時)すぎ、乱射や爆発などが相次ぎ、130人が死亡した。オランド仏大統領は第二次世界大戦以来初めての非常事態を宣言。14日の国民向けテレビ演説で、一連のテロはイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の軍事部門が実行した、と述べた。そして、「フランスは戦争をしている。(13日の)金曜夜にパリで起きたことは、戦争行為だ。金曜日の戦争行為は、シリアで計画と決定がなされ、ベルギーで組織され、フランス人の手助けで行われた。われわれは「イスラム国」と向き合っている」と語った。
 しかしこれはアメリカにおける「9・11事件」の再現である。

 アメリカの「9・11事件」とは何か。
 2001年9月11日、アメリカの中心都市ニューヨークの中核地区にある110階の世界貿易センタービルと、アメリカ国防総省ビルに、イスラム過激派のテロ組織、アルカイダ(欧州イスラム原理主義)によるハイジャック事件が発生。ビルは崩壊、国防総省も大きな被害を受け、合計6000人が死亡した。
 ブッシュ大統領は「テロとの戦争がはじまった」と宣言。テロの根拠地はイラクとアフガニスタンにある、と声明。有志連合を組織し、2003年3月からイラク戦争とアフガン戦争を開始した。しかし、その結果は、泥沼におちいり、アメリカは敗北、これを機会に世界の警察官としての地位を失った。こうして世界は無重力時代に入った。
 帝国主義は帝国主義戦争を通じて崩壊するという歴史の法則は証明され、資本主義崩壊の時代に入った。
 パリのテロ事件はこの「9・11事件」の再現であり、資本主義崩壊の波はいっそう深まって行った。


「資本主義の終焉」を説く水野和夫氏の論旨をよく知ろう。経済的法則から資本主義の終焉を予告しているのである!

 水野和夫(日本大学国際関係学部教授)著、集英社刊『資本主義の終焉と歴史の危機』は、〔一六世紀以来、世界を規定してきた資本主義というシステムがついに終焉に向かい、混沌をきわめていく「歴史の危機」。世界経済だけでなく、国民国家をも解体させる大転換期に我々は立っている〕と。
 こういう大胆で明快な言葉で述べる氏の論旨はなにか。その核心部分をここに紹介する。氏の論旨の核心はつぎの諸点である。
 ▽資本主義は「中心」と「周辺」から構成され、「周辺」つまり、いわゆるフロンティアを広げることによって「中心」が利潤率を高め、資本の自己増殖を推進していくシステムです。「アメリカのグローバリゼーションが叫ばれている現代、地理的な市場拡大は最終局面に入っていると言っていいでしょう。もう地理的なフロンティアは残っていません。また金融・資本市場を見ても、各国の証券取引所は株式の高速取引化を進め、百万分の一秒、あるいは1億分の一秒で取引ができるようなシステム投資をして競争をしています。このことは、「電子・金融空間」のなかでも、時間を切り刻み、1億分の一秒単位で投資しなければ利潤をあげることができないことを示しているのです。つまり、「地理的・物的空間(実物投資空間)」からも「電子・金融空間」からも利潤をあげることができなくなってきているのです。資本主義を資本が自己増殖するプロセスであると捉えればそのプロセスである資本主義が終わりに近づきつつあることがわかります。
 ▽もう資本主義というシステムは老朽化して、賞味期限が切れかかっています。しかも、二一世紀のグローバリゼーションによって、これまで先進国が享受してきた豊かさを新興国も追い求めるようになりました。そうなれば、地球上の資本が国家を見捨て、高い利潤を求めて新興国と「電子・金融空間」を駆け巡ります。その結果、国民経済は崩壊して、先進国のみならず新興国においてもグローバル、エリートと称される一部の特権階級だけが富を独占することになるはずです。
 ▽資本主義の終わりの始まり。この「歴史の危機」から目をそらし、対症療法に過ぎない政策を打ち続ける国は、この先、大きな痛手を負うはずです。
 ▽もはや近代資本主義の土俵のうえで、覇権交替があるとは考えられません。つぎの覇権は、資本主義とは異なるシステムを構築した国が握ることになります。
 以上である。これが水野氏の論旨である。誠に大胆で明快である。われわれはこの論旨を評価し、賛成し、支持する。


哲学・歴史科学の法則は、資本主義崩壊は必然であり、その後は人民の世界であり、コミュニティー共同体から社会主義への道であることを示している。これは科学的法則である!
     ―コミュニティー共同体とは何か―

 人類の歴史はそのエネルギー(生産力)によって一貫して運動し、前進し、発展し、転換(変革)されてきた!

 エンゲルスは『自然弁証法』(1875年)によって宇宙と万物を支配するエネルギーの運動法則の産物としての現代世界のあり方を解明した。
 マルクスはその著作『経済学批判・序論』(1859年)によって人類世界の歴史と未来展望について哲学・歴史科学的に解明した。哲学歴史科学観の核心はつぎの点にある。
 @ 人類の歴史とその社会(国家と社会制度)のあり方を決定するのはエネルギーとしての生産力である。「生産力が生産関係を決定する」。つまり、経済力が生産関係たる国家と社会のあり方を規定していく、ということである。生産力とは人間の労働能力だ。
 A 生産力は常に前進し、発展していく。一ケ所で止まった時代は一つもない。これにもとづいて国家と社会も常に変化していった。原始時代―古代―中世―近世―そして現代という歴史過程を見ればはっきりしている。
 B 歴史は常に運動し、前進し、発展し、転換していくのであって一ケ所に止まっているわけではない。現代資本主義はつぎの時代たるコミュニティー共同体から社会主義へと移行せざるを得ない。これは哲学歴史科学が進む必然の道である。
 C 哲学・歴史科学の運動法則が現在求めているのは、最大限の利益追求第一主義・物質万能主義と拝金主義・自由競争という名の弱肉強食・非人間的格差社会、という現代資本主義の否定である。
 そして人民の人民による人民のための世界・共同生産・共同分配・協力・共同・連帯の人間社会・大自然と共に生きる豊かな人間生活の実現を求めているのである。
 D 現代資本主義は独占と帝国主義の時代、最高度の段階に到達し、登り詰めてしまった。エネルギーの運動法則から転換せざるを得ない。これで人類の前史は終わり、新しい歴史時代に移行する。
 E この人類の後半たる新しい歴史時代とは何かについてエンゲルスは『自然弁証法』で明言している。「人類は挙げて大宇宙との闘いに進軍する」と。
 そしてマルクスの学説の正しさは、歴史そのものが、事実で証明しているのである。


コミュニティーとは何か!

 ▼ 哲学・歴史科学の運動法則が現在求めているのは、最大限の利益追求第一主義・物質万能主義と拝金主義・自由競争という名の弱肉強食・非人間的格差社会、という現代資本主義を否定する。
 そして人民の人民による人民のための世界・共同生産・共同分配・協力・共同・連帯の人間社会・大自然と共に生きる豊かな人間生活の実現、である。
 ▼ コミュニティー、人民による人民のための人民の世界。それは国家、社会、生産活動の運営目的を、最大限の利益と利潤追求のみに注ぐのではなく、すべてを人民の生活と文化水準と社会環境の安心・安全・安定のために注ぐ。
 ▼ 金と物がすべてではなく、人間の心と自然の豊かさが第一であり、姿や形だけの美しさではなく、働く人びとの生きる姿と心の美しさが第一であり、一人だけで急いで先に進むのではなく、遅くてもみんなが一緒に進む。
 ▼ 人類とその社会は生まれたときから環境の産物であり、歴史的なものであった。環境が変われば人類とその社会も変わる。国家と権力が変われば人類社会は変わる。
 ▼ そのための力こそ、すべてを人民のための・人民による・人民の政治と権力であり、その具体的表現たる人民評議会である。ここに本当の民主主義がある。
 ▼ 人類が最初にはじめてつくった社会は、原始的ではあったが、そこにはまさに共同と共生と連帯の人間的社会があった。そしていくたの回り道をしたが、その間により大きくなってもとに帰る。つまりより高度に発達した近代的コミュニティー国家と社会へ。ここから本当の人間社会、人民の社会が生まれる。こうして人類は総力をあげて大宇宙との闘い、新しい闘い、宇宙の開発と開拓の闘いに進軍するであろう。


 結  語

われわれの未来展望とそのスローガン

 われわれはすべてを哲学・歴史科学的世界観に徹するよう呼びかける。われわれは一貫して次のような哲学・科学的世界観、歴史科学観を提起する。
 @、人類とその社会は永遠の過去から永遠の未来に向かって運動し、発展し、爆発し、収れんされつつ前進していく。そのエネルギーは人間の生きる力であり、その物質的表現としての生産力である。
 A、生産力の発展がその度合いに応じて生産関係としての人類社会(国家)を作り出していった。それは最初の原始共同体、次の奴隷制、封建制、資本主義制、そして社会主義へと一貫して生産力の発展が生産関係(国家)を変化させていった。これからもそうなる。
 B、物理学が証明しているとおり、すべての生物は環境が作り出していく。人類もまた環境の産物であり、進化していった。環境が人間を変えていく。新しい環境と新しい社会は新しい型の人間を作り出していく。
 C、人類の歴史を見ればわかるとおり、一つの支配権力、一つの国家形態が永遠であったことは一度もない。歴史は常に運動し、変化し、発展し、転換して次々と新しい時代を作り出していった。そして歴史を見ればわかるとおり、変化は静かで一直線ではない。爆発と収れんは歴史法則である。歴史は必然を持って前を目指すが、その過程では常に偶然が伴う。偶然は必然のための産物であり、偶然は必然のための糧である。そして必然の世界とは人民の人民による人民のための世界であり、より高度に発展したコミュニティー社会である。歴史は到達すべきところに必ず到達する。
 D、コミュニティーとは何か。人民による人民のための人民の世界とは何か。それは国家、社会、生産活動の運営目的を、最大限の利益と利潤追求のみに注ぐのではなく、すべてを人民の生活と文化水準と社会環境の安心・安全・安定のために注ぐ。
 E、生産第一主義、物質万能主義、拝金主義、弱肉強食の国家と社会ではなく、人間性の豊かさと人間の尊厳と人間としての連帯と共生の国家と社会にする。
 F、金と物がすべてではなく、人間の心と自然の豊かさが第一であり、姿や形だけの美しさではなく、働く人びとの生きる姿と心の美しさが第一であり、一人だけで急いで先に進むのではなく、遅くてもみんなが一緒に進む。
 G、人類とその社会は生まれたときから環境の産物であり、歴史的なものであった。環境が変われば人類とその社会も変わる。国家と権力が変われば人類社会は変わる。
 H、そのための力こそ、すべてを人民のための・人民による・人民の政治と権力であり、その具体的表現たる人民評議会である。ここに本当の民主主義がある。
 I、人類が最初にはじめてつくった社会は、原始的ではあったが、そこにはまさに共同と共生と連帯の人間的社会があった。そしていくたの回り道をしたが、その間により大きくなってもとに帰る。つまりより高度に発達した近代的コミュニティー国家と社会へ。ここから本当の人間社会、人民の社会が生まれる。こうして人類は総力をあげて大宇宙との闘い、新しい闘い、宇宙の開発と開拓の闘いに進軍するであろう。
(以上)