2016年(平成28年) 7月25日付 443号


日本の右翼民族主義・安倍政権の「アベノミクス」の失敗と破綻も歴史の反乱である!

全世界が固唾をのんで注目していた、イギリスの欧州連合(EU)からの離脱か、残留かをめぐる国民投票は、6月23日実施、24日開票、集計の結果、離脱支持が過半数の51・9%を占め、離脱が決まった。
 全世界の報道機関はいっせいに、大々的に、全面的に報じた。日本の各新聞も一面トップで「欧州分裂・世界に大打撃」「キャメロン首相辞任へ」、「世界の市場大荒れ」「EU、離脱のドミノ警戒」、「欧州連合(EU)崩壊の始まり」という大見出しが躍った。
 日本は25日、財務省と金融庁、日銀による臨時の幹部会合を開いて対応を協議したが、出席者は「何が起こるかわからない。そういう世界に臨むことになってしまった」とつぶやいたという。


英国民投票の本質は資本主義制度への大衆的反乱である!

 6月26日付日本経済新聞は大きなスペースでヨーロッパのジャーナリズムに現れたこの問題に関する注目すべき論点をまとめて次のように報じている。
 @国民投票の結果は現状に対する大衆の反乱であり、国内外に及ぼす影響は戦後欧州で起きたどんな重要な出来事にも劣らぬほど甚大だ。
 Aあらゆる現象をつなぐ糸は、勤勉な労働者階級に不利に作られたと見られている政治経済システムに対する大きな不満である。
 B政治家は資本主義の行き過ぎにも対応する必要がある。もし今、危機に直面している自由民主主義を救いたいのなら、資本主義を改革しなければならない。
 ヨーロッパに広がるこの論調は、富の不公平分配、格差拡大、失業と貧困を生み出す現代資本主義に対する反乱であることの歴史的証明となった。
 そしてこのことは、哲学・科学的歴史観が証明している通り、万物を支配する歴史の運動法則とその時代が生み出す必然の産物であることを正しく認識しなければならない。
 現代の歴史時代とは何か。それは世界は無重力の時代であり、漂流する時代であり、大衆の怒りがいたるところに爆発している時代である。その根底にあるのは資本主義というこの政治・経済・社会制度が生み出す必然の産物としての抑圧と生活苦、失業と貧困、格差社会の拡大と前途への不安、である。つまり歴史は人類社会の根本的転換期に到達しているのであり、人類社会は永遠に存在し続けるために、原始社会から奴隷制へ、そして封建制から資本主義へ、こうして次の時代たるコミュニティー共同体へと変わらなければならない時代に到達しているのである。歴史は変化を求めて爆発する。
これは哲学・歴史科学の必然の法則である。この必然性が、人類社会最後の帝国主義国家たるアメリカ帝国主義の一極支配を終わらせた。その結果ついに世界は重力を失い、無政府状態となり、バラバラになり、必然的に、人間欲望の自由主義の国家形態たる民族主義と無差別テロが爆発しているのである。
 今日、全世界に吹き上がる対立と抗争、内乱と暴動、国家間の紛争と非難合戦などはみな、すべては歴史と民族主義の爆発である。民族主義が形や姿を変えて、宗教対立となり、経済紛争となり、国境紛争となっている。しかし歴史が証明しているとおり、民族主義に未来はない。歴史が封建制の遺物としての民族主義を拒否するのである。それは、民族主義の典型であったヒトラーと日本軍国主義の歴史が明確に証明している。
そして特筆しておかねばならないのは、現代ヨーロッパを大混乱と動揺に落し入れている難民問題である。内戦が続く中東、シリアなどからヨーロッパに殺到する難民・移民は今年までに6500万人となり、第二次世界大戦以来の最大の危機と呼ばれる事態となっている。それが欧州連合(EU)内の各種の矛盾と結びついてヨーロッパの危機を生み出しているのである。
 平和と生活と身の安全を求め、祖国と故郷を捨て、流浪の民となって、当てもなく、これだけの多くの民がさ迷うような時代は今までなかった。ここに現代資本主義の政治的危機がある。もはや現代資本主義に人類を豊かにする能力はなくなったのである。ここにも歴史の転換期を見ることができる。すべては『資本主義の終焉と歴史の危機』という経済上の土台が、このような政治的・社会的危機を生み出しているのである。
 すべての出来事と現象は歴史の必然性とそのときの歴史時代の産物であることを知らねばならない。


2016・7月参院選挙の結果と「アベノミクス」の失敗も歴史の反乱である!

 第24回参院選挙は7月10日、投開票が行われたが、自民・公明党の与党が大勝利を得た。安倍首相が勝敗ラインに掲げた与党による過半数(61)を確保し、また憲法改正発議に必要な3分の2(162)にも達した。そして首相は引き続きアベノミクスによるデフレ脱却に全力を尽くすと発言した。
 7月11日付日本の主要な新聞の大見出しは与党大勝利の大きな活字が躍った。読売新聞「与党大勝、改憲派3分の2超す」、「アベノミクス加速」「自民拍手の連続」。産経新聞「改憲3分の2発議可能に」「与党衰えぬ勢い」「消沈共闘空振り」。日本経済新聞「安倍1強一段と」「民進再生道遠く」。朝日新聞「歴史的な選挙自公が国政4連勝」、などであった。ここにこの選挙に対するジャーナリズム的論評のすべてがある。だがわれわれは違う。われわれの世界観、哲学・科学的歴史観、演繹的で俯瞰的な見方からすれば次のような結論が出る。
 @英国のEU離脱、アメリカのトランプ現象、全世界に広まるテロと難民、格差社会と失業・貧困、すべては歴史時代の産物である。つまり現代資本主義の本質(自由競争という名の弱肉強食、非人間的な拝金主義と差別)があらゆる矛盾の根源である。
 A歴史はここから脱出して新しい世界を目指して爆発を引き起こしている。歴史が教えている通り、戦争と内乱、テロと暴力、対立と紛争はそのためのビックバンである。
 Bその最大の現象こそ、全世界に広まる民族主義の嵐であり、右翼民族主義の反乱は英国のEU離脱、トランプ現象、そして日本では右翼民族主義の旗手たる安倍政権である。
 Cだが歴史が教えているとおり、民族主義に未来はない。民族主義はヒトラーの例が教えているとおり、歴史の運動がこれを否定するのである。
 D日本の右翼民族主義は安倍政権に代表されている。だから必ず崩壊していく。その兆しがもう見えている。それがアベノミクスの失敗と崩壊である。


(一)2016年7月参院選挙の結果は「アベノミクス」の失敗と破綻を証明する歴史的なものとなった。選挙中も、選挙後も、首相は一貫して、いたるところで「アベノミクスを今後もいっそう強く推進する」と強調しているのは、それがうまく進まないことの裏返しなのである!

 安倍政権の本音は、今度の選挙で、憲法改正のための突破口を開くために与党だけで議席の3分の2獲得であったが、それが表面化すると反対派を利するので、選挙戦の争点を「アベノミクス」の是非を掲げたのである。
 ところがそういう姑息な手段が仇となって、安倍政権の生命線たるアベノミクスそのものが破綻したことを歴史が証明したのである。このことをわれわれは改めて、しっかりと政治的に確認しなければならない。
 安倍政権が発足した2012年、安倍晋三首相は当時デフレ経済で苦しんでいた日本を救う国策として「アベノミクス」を高々と掲げた。それは「三本の矢」を柱としたもので、第一は大胆な金融政策(これが日銀によるマイナス金利・異次元金融緩和政策である)。第二は機動的な財政政策(国家予算の再編成)。第三は経済成長戦略(民間企業の育成と成長)であった。その中でも第一の矢である、日銀のマイナス金利政策がアベノミクスの主要な柱となっていた。ところが、この柱がついに倒れ始めたのである。2016年5月12日付日本経済新聞に東レ社長の日覺昭広氏が次の一文を「私見卓見」欄に発表した。「国内の経営環境は米国の金融資本主義の影響を受けすぎていて危機感を感じる」と。そして本来金融とは物々交換のための手段であった金融(貨幣)がついに主流になってしまい、実体経済をも支配する時代になった。お金で景気を何とかしようという風潮は邪道だと現状を批判した。これは正しい。だがこの問題の本質はアメリカが悪いのではなく、現代資本主義がついにここまで上り詰めた、というのであって、資本主義の法則なのである。つまり、現代資本主義は頂点に達し、老いてしまい、ただ利ザヤだけを追い求めて動く金融資本主義がグローバル時代の波に乗って世界中を荒らしまわっているのである。こうして資本主義の転換を歴史が求め、いたるところで、あらゆる爆発を引き起こしている。東レの日覺社長の見解は経済界の総意・本音なのである。
 そして実体経済そのものが、アベノミクスの失敗と破綻を証明している。参院選挙の投票前の9日付産経新聞は「潤沢マネー借り手なく」という大きな見出しで、金利をいくら下げても、企業の方は、世界的に不況感は強く景気の先行きに不安があり、成長のための投資に慎重だという経済の実態が銀行の話に乗らないのだという。読売新聞も同日付で「街角景気連続悪化」という見出しで、英国のEU離脱が生み出した「円高・株安」で企業の経営悪化は避けられず、消費マインドは一向に高まらず、大衆の生活防衛と節約志向は強くなるばかりと報じている。
 こうしてアベノミクスは、現代の歴史時代と、資本主義の危機と、混乱・動揺の世界がそれを阻むのである。アベノミクスは歴史がその失敗と破綻を生み出している。ここに歴史の反乱がある。


(二)アベノミクスを徹底的に批判した日本経済新聞の特集に注目しよう!

 こうしたことから日本経済新聞は5月12日付で、大きなスペースで特集を組み、黒田東彦総裁と日銀のマイナス金利政策の失敗と破綻を取り上げて論じている。故にこれは日本経済界の総意であり、アベノミクスに対する日本経済界の批判である。つまりアベノミクスの失敗と破綻の宣言書でもある。
 日本経済新聞の特集は1ページをつぶしたうえで「黒田日銀・マイナス金利に4つの誤算」という大見出しで、その失敗を論じている。
 アベノミクスというものは、安倍晋三政権と黒田日銀が一心同体となって進めているもので、黒田日銀の失敗とはすなわち安倍政権の失敗と見ないわけにはいかない。日本経済新聞がいうところの、その4つの失敗とは何かについて次のように記している。
 大胆な金融緩和でデフレ打破に挑んできた日銀の黒田東彦総裁の影響力に陰りがみられる。景気や物価上昇は鈍い。消費者や企業からの抵抗感も出始めた。日銀は数々の誤算に直面している、という。その誤算とは何か。
 1つ目の誤算は円高・株安だ。EUの不安定から世界経済の減速感、原油への不安、そこから発生する投資家、企業家たちの下振れリスクへの対応が円買いから株売りへと資金の流れが変わっていく。これを誤算という。しかしこれは現代資本主義の本質としての金融資本主義、金融寡頭支配の歴史時代が生み出す経済法則だと見えない非科学的世界観が人々を盲目にしてしまい、誤算だといわせているのである。否!すべては資本主義の経済法則なのだ。アベノミクスの失敗は歴史の必然である。
 日本経済新聞がいう2つ目の誤算は、金融市場との対話のほころびだという。金融市場は自由勝手だという。金融市場とは投資家や、金融業者や、企業家や、資産家のことだが、彼らは金利を求めて走り回るのが当たり前であり、資本主義の経済法則がそうさせるのであって、彼らとの間には対立と競争があるのが当然であって話し合いでうまくやれるはずはない。ここにも資本主義の法則、金融資本主義の本質がわからない盲目性がある。アベノミクスの盲目性からその失敗は必然である。
 日本経済新聞がいう3つ目の誤算は、日銀と民間の金融機関(銀行)との間の意識のすれ違いだという。これも前項の誤算と同じことである。公と民の間の対立と抗争、同業者間の対立と抗争は資本主義的自由競争の世界、自由という名の弱肉強食は資本主義の本質ではないのか。だからテロや戦争が起こるのである。ここにも哲学と科学抜きの自然発生的世界観の盲目性がある。この盲目性がアベノミクスの失敗を法則づけているのである。
 日本経済新聞が特集であげている日銀の誤算の最後の4つ目は、実際の経済活動に身を置く企業家や、経営者や、働く人びと、消費者の個人、そういう一般の人びとの心理、考え、意欲の不安定、動揺をつかみきれないという誤算をあげる。これも同じことである。すべては自由主義の世界、自由主義的政治・経済・社会法則において、人びとの心理、考え、意欲が同じだということはありえない。だから人類の世界において、対立と抗争、戦争と内乱は常に起こっているのである。自由競争という名の対立と抗争、弱肉強食はこの世界にはつきものである。人類の未来はこのような経験を通じて、そして生産活動と生産力が最高度に発展して、もうこれで十分だ、これからはゆっくりだという歴史時代に到達したとき、すべての面で協力と共同、連帯と協同の社会、コミュニティー共同体が実現、すべてを解決する。アベノミクスの目的とその内容は、現代の歴史時代では絶対に不可能であり、日本経済新聞の特集はこのことを証明した記録でもある。


結語

 ▼人類の歴史を見ればわかるとおり、一つの支配権力、一つの国家形態が永遠であったことは一度もない。歴史は常に運動し、変化し、発展し、転換して次々と新しい時代を作り出していった。そして歴史を見ればわかるとおり、変化は静かで一直線ではない。爆発と収れんは歴史法則である。歴史は必然性をもって前を目指すが、その過程では常に偶然が伴う。偶然は必然のための産物であり、偶然は必然のための糧である。そして必然の世界とは人民の人民による人民のための世界であり、より高度に発展したコミュニティー社会である。歴史は到達すべきところに必ず到達する。
 ▼人類が最初にはじめてつくった社会は、原始的ではあったがそこにはまさに共同と共生と連帯の人間的社会があった。そしていくたの回り道をしたが、その間により大きくなってもとに帰る。つまりより高度に発達した近代的コミュニティー国家と社会へ。ここから本当の人類の社会、人間の社会が生まれ、人類は総力をあげて新しい宇宙との闘いに進軍する。