2024年12月25日 №544
《米大統領選は何を問いかけているのか》
大接戦の事前予測を大きく覆した、トランプ前大統領の圧倒的完勝は、アメリカの2極化、格差と分断、「絶望の国」アメリカを証明した。米大統領選は現代資本主義の本質、その惨状を世界にさらした。米国の革命は必然性である!
歴史の到達点はコミュニティーである。人類が最初に作り出した原始共同体社会は、より発展し、前進し、より高度になって元に帰っていく。生産も、分配も、統治も、すべては共同体で執行される。人類最初の社会はそうであったのだ!
注目された米大統領選は十一月五日に投開票され、共和党のトランプ前大統領(78)の当選(現地時間六日午後)が早々と確定した、と米メディアが報じた。トランプ氏は直ちに勝利演説をし、翌日、民主党のカマラ・ハリス氏も敗北宣言し、事実上、全ての選挙戦は終わった。外国、特に欧州や日本では全体として困惑しているが、世界の極右政党は歓迎している。
大統領選挙の結果は、トランプ前大統領の圧勝であった。選挙人の獲得数、総得票数、七つの激戦州では全勝。しかも「トリプルレッド」と言われるホワイトハウスと上下両院をも制したのである。そればかりか大接戦で結果の判明は四、五日かかるという事前予測を大きく覆し、投開票日の午後には大勢が判明するという圧勝であった。事実上、「全権委任」である。
先進的知識人は早くから予測していた。それをよく表したものは11月10日付朝日新聞「日曜に想う」の佐藤武嗣編集委員の報告である。
米国の国際政治学者イアン・ブレマー氏は、自らが主催する「GZERO(Gゼロ)サミット」(10月23日、東京)の講演で、自国について「米国は今、内戦状態にある」とはっきり発言した。そしてブレマー氏は「米国には、民主主義をめぐって二つの勢力があることを誰もが認めている。このぶつかり合いが大統領選挙である」といい、「いま世界は秩序のかじ取りを担うリーダー不在の時代が本格的に到来している」と訴えた。
佐藤編集委員は、同サミットにおけるブレマー氏のエマニュエル駐日米大使へのインタビューが「味わい深かった」と語る。
『米国における民主主義の危機、政治・社会の分断、二極化の背景にあるものは何か。エマニュエル氏はイラク戦争と金融危機の二つを挙げた。
イラク戦争で、米国が大義とした大量破壊兵器は存在せず、「何千もの米兵が命を落とし、多くの人々の生活が傷つき、多額の戦費が費やされたが、トップのだれも責任を問われなかった」。その後の金融危機でも多くの人が職や家を失い、生活が破壊されたのに、政界・金融界ではだれも責任を負わず、刑務所にも入らない。…「民主主義の管理者である我々が、民主主義を台無しにし、国民に自信を失わせてしまった」。』と。
講演とインタビューについて、佐藤編集委員が、「味わい深かった」と振り返った通り、みな重要なテーマである。その核心と、政治的意義は次の点にある。
第一に、戦争を通じて帝国主義は崩壊する、のである。戦後アメリカは戦争に敗け続けている。その決定打はイラク戦争であった。大量破壊兵器は存在せず、ウソをついて戦争をはじめ、アメリカ国民は信用を失い、対立と分断を開始し、帝国としてのアメリカの崩壊がはじまった。 帝国主義は歴史によって葬られようとしている。それが今のアメリカの姿である。
第二に、民主党も同じである。特にオバマ時代、サブプライムローンとリーマンブラザーズの処理を通じ、国民に多額の負担を負わせたが、金融資本は「多額のボーナス」をせしめ、懐にいれた。「オバマ旋風」の裏切りは鮮明になり、これがトランプを刺激したのである。
第三に、アメリカは「絶望の国」となった。共和党も、民主党も、「エスタブリッシュメント」(支配者集団)と共謀して今日の対立と分断、二極化したアメリカにしてしまった。こうして「米国第一」を掲げ、トランプ前大統領は再び大統領として、ホワイトハウスに帰ってきたのである。
圧倒的な「票」を得て、トランプ前大統領は一月二〇日の就任式を経て、正式にアメリカ大統領に就任する。「絶望の国」アメリカは、「希望の国」に転換できるのか。果たして、支配者集団「エスタブリッシュメント」を破壊し、労働者階級と人民を土台にした国家に転換できるのか、である。それはおそらく不可能であろう。
今後、アメリカは、国際政治学者のブレマー氏が、米国は「内戦状態」にあると言っている通り、ますます混迷し、対立を深め、分断され、世界も「漂流」し、「ジャングル化」していくであろう。
われわれは改めて宣言する。現代は、資本主義が崩壊し、コミュニティ社会に転換する新しい歴史時代である。歴史はマルクス主義を求め、共同体とコミュニティ社会へと向かっている偉大な歴史時代である。
もう一度、われわれは歴史科学について結論付けたい。
人類の歴史は原始時代―奴隷制時代―封建制時代―資本主義時代へ、そして現代独占資本と帝国主義の時代に登りつめた。資本主義の頂点に達した現代、らん熟し、腐敗し、堕落してしまった現代、その権力はもはや統治能力を失ってしまった。もはや老いてしまったのである。
米大統領選挙をはじめ現代世界のすべての政治事件は必然と偶然の歴史的産物である。歴史は科学であり、法則が支配する。そのカギは核であり、原則を堅持するその強固さである。歴史時代とは何か!
それは世界は無重力の時代であり、漂流する時代であり、大衆の怒りがいたるところに爆発している時代である。その根底にあるのは資本主義というこの政治・経済・社会制度が生み出す必然の産物としての抑圧と生活苦、失業と貧困、格差社会の拡大と前途への不安、である。この現象と原因については水野和夫氏の著作『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社刊)が解明しているとおりである。つまり歴史は人類社会の根本的転換期に到達しているのであり、人類社会は永遠に存在し続けるために、原始社会から奴隷制へ、そして封建制から資本主義へ、こうして次の時代たるコミュニティ共同体へと変わらなければならない時代に到達しているのである。歴史は変化を求めて爆発する。
これは哲学・歴史科学の必然の法則である。この必然性が、人類社会最後の帝国主義国家たるアメリカの一極支配を終わらせた。その結果ついに世界は重力を失い、無政府状態となり、バラバラになり、必然的に、人間欲望の自由主義の国家形態たる民族主義と無差別テロが爆発しているのである。
今日、全世界に吹き上がる対立と抗争、内乱と暴動、国家間の紛争と非難合戦などはみな、すべては歴史と民族主義の爆発である。民族主義が形や姿を変えて、宗教対立となり、経済紛争となり、国境紛争となっている。しかし歴史が証明しているとおり、民族主義に未来はない。歴史が封建制の遺物としての民族主義を拒否するのである。それは、民族主義の典型であったヒトラーと日本軍国主義の歴史が明確に証明している。
特筆しておかねばならないのは、現代のアメリカやヨーロッパを大混乱と動揺に陥入れている難民問題である。国連難民高等弁務官事務所によると、内戦が続く中東、シリアなどから欧米に殺到する難民・移民は、二〇二四年五月末までに世界で約一億二千万人となり、第二次世界大戦以来の最大の危機と呼ばれる事態となっている。危険を推して難民は日々増え続けている。それが現代世界の各種の矛盾と結びついて様々な危機を生み出している。
平和と生活と身の安全を求め、祖国と故郷を捨て、流浪の民となって、当てもなく、これだけの多くの民が世界をさ迷うような時代は今までなかった。ここに現代資本主義の政治的危機がある。もはや現代資本主義に人類を豊かにする能力はなくなったのである。ここにも歴史の転換期を見ることができる。すべては『資本主義の終焉と歴史の危機』(水野和夫)という経済上の土台が、このような政治的・社会的危機を生み出しているのである。
すべての出来事と現象は歴史の必然性とそのときの歴史時代の産物である。
〖付加〗
最近、ちらほらと「ファシズム」という声を聴く。一部には「ソフトファシズム」の声まで聴く。
アメリカや世界のあちこちで民族主義の嵐が吹き荒れている。安倍政権の時代、右翼民族主義がよく話題になったものである。
ファシズムはもとより、民族主義は歴史的には封建制度の遺物であり、「勝利や成功」は本質的にはあり得ない。しかし歴史の発展は紆余曲折、補足的な揺り戻しを経ながら、結局は歴史科学に立ち戻り、革命に到達する。
一言付け加えれば、ファシズムは混迷と危機、大衆の政治不信をバックに、民主主義を全面否定して登場する。ファシズムとは何か、をみればわかるとおりである。レーニンが出席した最後の大会となったコミンテルン第四回大会(一九二二年十一月七日)と第六回大会(一九二八年七月一五日)などで明らかにされている。これがもっとも正確で原則的なものである。その主なものは次のとおりである。
「ファシズムとは、金融資本の、もっとも反動的な、もっとも排外主義的な、もっとも帝国主義的な分子による、公然たるテロ独裁である」
「ファシズムが権力につくことは、一つのブルジョア政府のあとに他のブルジョア政府がつづくという形ではなく、ブルジョアジーの階級支配の一つの国家形態(ブルジョア独裁)が他の国家形態(公然たるテロ独裁)に取り換えられることである」
「ファシズムは資本主義の強さの証拠ではなくその弱さの証拠でもある。だからファシズム独裁は凶悪な権力ではあるが不安定なものである」
会田弘継氏の近著『それでもなぜ、トランプは支持されるのか』(東洋経済新報社)――氏の思想史を学び、誰が悪い彼が悪いの性悪説に陥らず、歴史科学の立場と、革命の必然性に確信を持て!
《米国の根本的な背景は、経済格差である。色々な格差は広がる一方である。これはアメリカ知識人社会が達した結論である(アメリカ芸術科学アカデミー)。機会の平等や持続的成長といった、アメリカンドリームを支える基本的要素を享受できる人が限られて、「階級社会」が生まれだしている。それを「封建社会」とまで呼ぶ学識者もいる。
ジョフ・ベゾス、ビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェットという3人の富豪の資産を合計すると、アメリカ国民の下位五〇%の資産合計額に並ぶといったら、これがまともな国かと思うだろう。こうしたすさまじい格差の底辺で、資産のみならず学歴も世襲されて固定化した階層社会ができあがった。這い上がることのできない低学歴の白人労働者階級の間では、死亡率が上がっていく。自殺、薬物中毒、過剰な飲酒に起因する肺疾患を原因とする彼らの死は「絶望死」と名付けられるようになった。今日のアメリカの資本主義は暴虐な圧政に似た状況を生んでいる。「絶望している国(人びと)」がトランプを生んだのである。
二〇一六年大統領選でヒラリー・クリントンが勝利した全米の四七二郡がアメリカの国内総生産(GDP)に占めた割合は六四%、トランプが勝利した二五八四郡は、その半分ほどの三六%。これが二〇二〇年になるとバイデンが勝利した五二〇郡はGDPの七一%を占め、トランプが勝った二五六四郡は二九%しか占めていない。バイデンに多くの票が入る地域はいかに繫栄し豊かな人びとが住み、トランプに票が入る地域はいかにさびれて停滞しているかが示されている。ベゾスら三人の資産が、下位五〇%の資産合計と並ぶというのは、こうした格差の象徴でもある。
この集計を行ったブルッキング研究所は、トランプ支持者らはこの格差がもたらす「経済的疎外」や「絶望死」、これがアメリカ社会を覆う分断の主因であると断じている。
「9・11」後のテロ戦争の真っただ中で、サブプライム住宅ローンの焦げ付きからリーマンブラザーズ破綻(二〇〇八年)へと至り、世界的金融危機と大不況を招くことになる。オバマ政権下で膨大な数の市民が適切な救済策を得られぬまま、住宅を失い、劇的なまでの中産階級崩壊が起きてしまった。こうした事態に対し国民の怒りや不満は鬱積し、二〇一六年大統領選ではついにトランプ政権が出現、左にサンダース旋風という、ともに二大政党の本流とは無縁な異端の政治家だった。
オバマ政権時代の失政は、ある意味で単純だ。政権発足(二〇〇九年一月)直前に起きたリーマン危機で、それ以前から起きていた住宅ローン破綻が一挙に深刻化して中間層の崩壊は歴然としていた。それなのに、オバマ政権は民主党と癒着する金融資本の意向にとらわれて、救済措置を怠った。大失態であった。二〇〇八年当時のオバマ熱はすっかり冷めてしまった。
二〇一一年秋にはニューヨークで起きた『ウォール街を占拠せよ』運動は、まさにこうした状況(特に格差)への激しい若者の怒りの噴出であった。トランプ旋風はこうした時代に出現した。
白人の中下層階級の中では「疎外感」や「絶望死」が急増した。「こうした不平等の構造は、場合によっては、暴力を伴う革命的変革が起きなければ解決できないといわれている」。》.
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▼会田弘継氏は、同著書の「あとがき」で、次のような史実を以って締めくくっている。
『これまでの常識が通じなくなっている。そのような事態を普通、「革命」と呼ぶ。
「それは反乱か」
「いいえ陛下、革命です」
一七八九年七月一四日バスティーユ監獄の報を国王ルイ一六世に伝えた公爵は、そう答えた。フランス革命の始まりである。
革命は理由なく始まるものではない。ルイ王朝は腐敗して行き詰まり、人びとは辛酸をなめ、怒りの限界に達した。だから暴力的に旧制度の破壊が始まったのだ。アメリカが今日の事態に至った背景は何か。そこを考え抜かねば、…答えは見つからない』と。
(あいだ・ひろつぐ氏=元青山学院大教授、現共同通信客員論説委員、ジヤーナリスト、思想史家)
民主主義とは何か。古代ギリシャ文明が生み出したその原理は「人民の主権」「人民の意思」「人民の政治」であり「人民の人民による人民のための政治」(リンカーン)のことである!
民主主義・デモクラシーという語は本来ギリシャ語の「人民」と「権力」という二つの言葉を一つにしたものであって、その原理は人民の主権、人民の意思、人民の政治のことであり、リンカーンはこの原理のもとに奴隷解放を宣言した。そのギリシャは人類最初の文化、古代ギリシャ文明の発祥の地である。ギリシャは先史遊牧民が北方から南下、この地に定着、その地形と地勢、その時代が生み出した商品経済活動の基地として栄えた。その財力によって自由都
ここに本当の民主主義がある。すべての精華を人民評議会に結実させよ。
結 語
人類の未来とスローガン!
われわれはすべてを哲学・歴史科学的世界観に徹するよう呼びかける。われわれは一貫して次のような哲学・科学的世界観、歴史科学観を提起する。
⑴、人類とその社会は永遠の過去から永遠の未来に向かって運動し、発展し、爆発し、収れんされつつ前進していく。そのエネルギーは人間の生きる力であり、その物質的表現としての生産力である。
⑵、生産力の発展がその度合いに応じて生産関係としての人類社会(国家)を作り出していった。それは最初の原始共同体、次の奴隷制、封建制、資本主義制、そして社会主義へと一貫して生産力の発展が生産関係(国家)を変化させていった。これからもそうなる。
⑶、物理学が証明しているとおり、すべての生物は環境が作り出していく。人類もまた環境の産物であり、進化していった。環境が人間を変えていく。新しい環境と新しい社会は新しい型の人間を作り出していく。
⑷、人類の歴史を見ればわかるとおり、一つの支配権力、一つの国家形態が永遠であったことは一度もない。歴史は常に運動し、変化し、発展し、転換して次々と新しい時代を作り出していった。そして歴史を見ればわかるとおり、変化は静かで一直線ではない。爆発と収れんは歴史法則である。歴史は必然を持って前を目指すが、その過程では常に偶然が伴う。偶然は必然のための産物であり、偶然は必然のための糧である。そして必然の世界とは人民の人民による人民のための世界であ
市がアテネ、スパルタなどの都市にコミュニティーが生まれ、紀元前600年には国家が発展していった。紀元前800年には歴史上はじめてギリシャ文字のアルファベットも完成した。
こうした歴史時代が、その国家をどうして運営するかが問題となり、ギリシャに発展した古代哲学者たちによって「民主主義」という理念が生まれた。
だがこの理念は商品経済の発達に合わせ国家の形態と機能と共に変化をもたらしていった。その結果が自由主義的商品経済にふさわしい「自由主義的民主主義」としての投票による選挙制となった。
この問題に関してはマルクスが哲学科学的理論を提起している。
マルクス「経済学批判・序言」
(1859年)
この文献でマルクスはつぎの三項目を主張している。ここにマルクスの「哲学世界観」がある。
(一)人類の世界は一貫して、生産力の発展が生産関係を規定していく。これは哲学歴史科学の必然的法則である。このような生産関係(国家と社会、政治対立と政治闘争)が思想・政治・イデオロギーを生み出していく。存在が意識を生み出す。
(二)生産力の発展は必然であり、無限である。そして生産関係の発展と変革も必然であり、無限である。人類の歴史は(原始時代を除けば)古代―中世―近世―現代を通じて、政治対立と政治闘争の歴史であった。この政治対立と政治闘争が歴史転換の原動力となり、戦争を通じて歴史は転換した。
(三)生産力の発展にもとづく生産関係の変革の到達点はコミュニティ共同体から社会主義への道である。この時点をもって人類の前史は終わり、以後人類は総力をあげて大宇宙の開発と開拓に取り組む。
以上のマルクスの哲学世界観の正しさは、すでに明らかにしたとおり、古代ギリシャ文明と国家の成立はすべて生産力の発展にもとづく、商品経済の成長と、財産の蓄積が土台になっており、この法則は人類の歴史を貫いているという事実によって証明されている。
この法則は、真の民主主義の発展と前進と勝利は、人類の歴史上における三大革命―パリ・コミューン(1871年)、フランス大革命(1789年)、ロシア革命(1917年)―を通じて進化し、完成された。
パリ・コミューンは、真の民主主義はコミューン(共同体)国家と社会の中でのみ実現されることを教えた。
フランス大革命では「世界人権宣言」が発せられ、万民は平等社会でのみ人民の権利は保障される、とした。
ロシア革命では真の民主主義、人民の権利と主権は人民評議会によってのみ実現される、とした。
真の民主主義は直接民主主義である。それは、各界、各層、各分野毎に組織された人民大衆の自治組織、評議会で意思決定され、確認された権利を主張し、実現するために闘い、行動する人民の権力である。いたるところに評議会を組織せよ。
あらゆる問題の根本は国家と権力の問題であり、すべては政治闘争である。政治運動と政治問題、あらゆる社会問題と諸現象の根本は、結局は国家の問題に行き当たる。つまり、国家の性質、性格。それを誰が支配し、何のために行使しているのか、というこの本質が一切を決定する。すべての運動と闘いは、結局は権力をめぐる争奪戦なのである。
資本主義の最高の段階、独占資本主義国家の政治上の権力は独占資本(財界)とその政党(保守政党)と官僚組織(官僚支配)の三結合、つまり政・官・財の癒着した支配体制である。彼らの権力支配の目的は一貫して、尽きることなきその本能的欲望たる最大限の利潤(最高の利益)追求が第一であり、生産至上主義、物質万能主義、拝金主義である。そのための手段が、人間欲望の自由放任であり、自由競争という名の市場原理主義であり、それはまさに弱肉強食の世界であり、生殺与奪の世界であり、貧富の格差拡大の世界である。そこから、人間性そう失、人格否定、あらゆる種類の犯罪社会が出現する。戦争と内乱、暴力とテロ、汚職と買収、腐敗と堕落もすべてはこのような国家と社会と権力が生み出す必然の産物である。すべての根源は実に国家と権力の問題なのである。
人類とその社会は生まれたときから環境の産物であり、歴史的なものであった。環境が変われば人類とその社会も変わる。国家と権力が変われば人類社会は変わる。そのための力こそ、人民のための、人民による、人民の政治と権力であり、その具体的表現たる人民評議会である。
り、より高度に発展したコミュニティ社会である。歴史は到達すべきところに必ず到達する。
⑸、コミュニティーとは何か。人民による人民のための人民の世界とは何か。それは国家、社会、生産活動の運営目的を、最大限の利益と利潤追求のみに注ぐのではなく、すべてを人民の生活と文化水準と社会環境の安心・安全・安定のために注ぐ。
⑹、生産第一主義、物質万能主義、拝金主義、弱肉強食の国家と社会ではなく、人間性の豊かさと人間の尊厳と人間としての連帯と共生の国家と社会にする。
⑺、金と物がすべてではなく、人間の心と自然の豊かさが第一であり、姿や形だけの美しさではなく、働く人びとの生きる姿と心の美しさが第一であり、一人だけで急いで先に進むのではなく、遅くてもみなが一緒に進む。
⑻、人類とその社会は生まれたときから環境の産物であり、歴史的なものであった。環境が変われば人/類とその社会も変わる。国家と/権力が変われば人類社会は変わる。
⑼、そのための力こそ、すべてを人民のための・人民による・人民の政治と権力であり、その具体的表現たる人民評議会である。ここに本当の民主主義がある。
⑽、人類が最初にはじめてつくった社会は、原始的ではあったが、そこにはまさに共同と共生と連帯の人間的社会があった。そしていくたの回り道をしたが、その間により大きくなってもとに帰る。つまりより高度に発達した近代的コミュニティ国家と社会へ。ここから本当の人間社会、人民の社会が生まれる。こうして人類は総力をあげて大宇宙との闘い、新しい闘い、宇宙の開発と開拓の闘いに進軍するであろう。
(以上)
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